総社市役所の市長室でツイッターに投稿する片岡市長(2日)

 「やっぱり凹(へこ)むよなぁ。でも前向くしかないな。がんばろう…」

 2日の夕方、岡山県総社市の片岡聡一市長(62)は市長室の自席に座り、こんな「つぶやき」をツイッターに書き込んだ。取り上げたのは、自身が立候補し、6日前に落選したばかりの全国市長会の会長選の話題。すぐに励ましの声が寄せられ、共感を示す「いいね」のマークは700件を超えた。「この思いを市民と共有したいじゃないですか」。意識するのは「等身大」の市長の姿だ。

 ▽避難情報素早く

 現在のフォロワーは約38千人。全員が市民ではないが、人口約7万人の自治体のトップでは異例の多さだ。中国地方の市町村長名で検索してツイッター利用を確認できる30人で最も多い。2010年に開設後、フォロワー数を伸ばす契機となったのが、18年7月の西日本豪雨だった。

 市内が甚大な被害を受ける中、行政の発信とは別に市長自らがツイッターで、避難情報を素早く投稿。増水した河川の状況も伝えた。災害時の速報を求めていた市民の閲覧登録が相次ぎ、フォロワー数は1万人近く増えたという。「どのニュースよりも速く、市の災害情報を伝えた。トップが発信することで避難も強く促せる」と振り返る。

 その後も新型コロナウイルスの感染者数からランニングで走った距離、その日食べた献立まで、ほぼ毎日投稿を続ける。「保育園の空きがない」といった困り事の相談が市民から直接届き、市の担当者に橋渡しをするケースもあるという。

 ▽市民との距離感

 フォロワーの1人で市内の会社員橋本敬二さん(59)は「柔らかい投稿が多いし、市長の顔が見えて親近感が湧く。市の政策にも関心を持てた」と好意的に受け止める。

 気軽に双方向でやりとりできるツイッターやフェイスブックなどの交流サイト(SNS)は有権者との距離を縮めるのに効果的だ。中国新聞社が中国地方の市町村長にしたアンケートでは、回答した92人のうち市町長38人(41・3%)が日頃から使っていた。

 一方で、投稿への誹謗(ひぼう)中傷や軽はずみな書き込みによる「炎上」もつきまとう。神戸市の久元喜造市長(68)は自身のツイッターへの「事実無根」という書き込みに悩み、4月にアカウントを削除した。

 「アホ」「ポンコツ野郎」…。片岡市長のツイッターも、匿名の心ない書き込みが散見される。ロシアによるウクライナ侵攻や、新型コロナウイルス予防の子どもへの集団ワクチン接種など、慎重な発言が求められる話題で目立つ。

 「中には賛否が分かれる問題もあるが、自分の考えを発信するのが首長の役割。炎上も覚悟している」と片岡市長。民意に触れられる利点と、危険性をはらむ「もろ刃の剣」だと自覚する。SNSを介した住民との距離感は近そうで、つかみにくくもある。

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 第5部は和多正憲、山崎雄一、坂本顕が担当しました。