そう言えば、あの併殺は見事だった。鋭いライナーを三塁手がはじくも遊撃手がキャッチして二塁手へ。飛び出していた走者もアウトにした。ソフトボールで日本に金メダルを引き寄せる奇跡のようなプレー▲昨夏の東京五輪・パラリンピックの感動シーンは人それぞれだろう。でも思い出すのに少し頭を巡らせた。まだ1年もたたず、印象的な競技が多かったはずなのに。テレビ観戦のせいか日本で開催された実感も乏しい▲14238億円也―。組織委員会が経費を最終報告した。昨年末の見通しから300億円近く圧縮し、「見積もりより少なく着地できた」と胸を張る。だが招致段階の7340億円から膨張した。1年延期、無観客にしてまで開催した意義とは何か▲次世代へつなげる―。橋本聖子会長が強調したレガシーも問われる。幾つもあると東京都知事は言うけれど。大会関係者を減らすなど開催地の負担軽減策をパリに提案したことくらいか▲きょうオリンピックデー。19世紀末に国際オリンピック委員会(IOC)ができた日という。大会を問い直す時だろう。経費が幾らかかっても開催することに意義がある―とは、クーベルタン男爵も言うまい。