第26回参院選がきのう公示された。食品やエネルギーなど生活に欠かせないものやサービスの値上げラッシュが家計を苦しめる中で迎えた選挙戦である。

 与野党の党首は第一声で物価高への対応を巡って舌戦を繰り広げた。暮らしを支える対策と経済の底上げを図る中長期的な対策の両方が求められる局面である。選挙の行方を左右しかねない最大の争点に浮上したといっていい。

 4月の生鮮食品を除く消費者物価指数が前年同月に比べ21%アップするなど、春から物価高騰が顕著になっている。急激な円安とロシアのウクライナ侵攻に端を発した資源高がコストを押し上げており、特に上昇率が目立つのは光熱費やガソリン代である。

 値上げは生鮮品から衣料品まで身の回りの全てに及ぶ。帝国データバンクによると、主な食品メーカーだけで年内に合わせて1万品目を超す。食費の支出割合が多い中低所得層の負担感はとりわけ重い。

 岸田政権は4月、62千億円をガソリン補助金の拡充や低所得の子育て世帯の給付金などに充てる緊急対策を発表した。自民党の公約を見ると、この対策に沿った燃油高対策の継続などが中心で、補助金の多くは企業や生産者向けだった。

 ところが世論調査で物価高対策への不満が顕著に表れ、内閣支持率の低下を招いた。

 危機感を強めた岸田文雄首相は「物価・賃金・生活総合対策本部」を設置。公示前日に節電した家庭へのポイント付与や食料価格に響く肥料などの値上がり緩和策を表明した。有権者へのアピールを意識するあまり、小手先の対応ではないか。

 野党は国民に直接恩恵が及ぶ支援を掲げる。こぞって訴えるのは消費税の減税や撤廃だ。自民、公明両党の現状維持に対し、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主の各党が減税を求め、社民党は3年間ゼロ、れいわ新選組は廃止を主張する。

 消費税は低所得の世帯ほど負担割合が大きい。生活支援に加え、新型コロナウイルス禍で広がった格差の是正にも一定の効果が見込める。

 しかし衆院で与党が過半数を占める状況ではすぐに減税が実現できるわけではない。税収減に伴い年金など社会保障の財源をどう補うのかを含め、各党は丁寧に説明する責任がある。

 格差是正の観点から住宅費や教育費への補助など分配の強化が検討されていい。選挙戦を通して国民の声を聞き、必要な施策を積み上げていくべきだ。

 円安が物価高を悪化させている点を踏まえれば、安倍政権以来の日銀の大規模な金融緩和が問われて当然だ。財政規律の緩みによる国の借金増をもたらした弊害にも目を向ける時だ。

 家計を支えるのに最も効果的なのが賃上げであることは疑いの余地はない。物価高に賃金の伸びが追いつかなければ「経済の好循環」は生まれない。

 にもかかわらず与野党の公約は最低賃金の引き上げや税制による支援などにとどまり、力不足が否めない。大企業が取引先の中小企業と利益を分かち合い、賃上げの形で従業員への還元を促すには支援策をどう拡充すべきなのか。企業の成長を後押しする環境をいかに整えるのか。その政策が求められている。