茶の産地といえば静岡や宇治が有名だが、広島県内で小規模ながらも「心に染みる一滴」を追求した茶栽培に取り組む人たちがいる。環境への配慮や地産地消の観点からも、地元産のお茶が注目されている。茶葉の収穫真っ盛りの産地、世羅町と東広島市高屋町を訪ねて作り手の思いに触れた。(馬上稔子)
全国で1%しかない貴重な畑 広島在来茶@世羅町
白磁の茶器に最後の一滴が注がれ、みずみずしい煎茶の香りが広がる。世羅町で「在来茶」の栽培・製造に取り組むティーファクトリーゲンの茶工場。入れてくれた代表の高橋玄機さん(34)が「野性味のある味わいでしょう」とほほ笑む。口に含むと強い清涼感が体に染みわたるようだった。
在来茶は、種を植えて育った木の茶葉で作られる。