ドイツ南部エルマウでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、採択した首脳声明で、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの制裁と圧力を強化する姿勢を鮮明にした。

 侵攻開始から4カ月過ぎ、ここにきてエネルギーや穀物の価格高騰という制裁の「副作用」が世界中で強まる。侵攻への対応では、ロシアや中国が入る国連安全保障理事会が機能しない今、G7の役割は重くなった。さらに真価が問われよう。

 侵攻は長期化する様相で、西側の結束だけでロシアを翻意させ、事態を好転させるのが難しい局面に移った。ロシアへの経済制裁に加わる国は大半が欧米にとどまる。多くの国から理解を得る努力が欠かせない。

 とりわけアフリカや中東の発展途上国の食料不足は貧困や政情不安に直結するだけに、当事国をはじめ危機感は強い。G7が支援のために45億ドル(約6100億円)を拠出するとの首脳声明は、食料安全保障の懸念が高まる国際社会に適切なメッセージとなっただろう。

 もともと課題だった途上国の飢餓を急激に悪化させたのは、ウクライナ侵攻である。アフリカの国々が多く買うウクライナ産小麦はロシア軍の黒海封鎖で輸出できず、略奪も指摘される。声明で非難したように、価格の高騰や入手の危機は、ロシアに重大な責任がある。

 許せないことに、ロシアのプーチン大統領は「食料危機は西側の制裁が原因」と開き直り、中国など友好国のいる外交の場で発言を繰り返している。対抗するため、サミットにはセネガルやインド、インドネシアなどロシアと一定の関係を保つ国の首脳を招いた。理解を深める姿勢は評価できる。

 一方、課題も浮き彫りになった。米国がさらなる追加制裁でロシア産石油の取引価格に上限を設ける措置を提案したが、欧州連合(EU)側は調整が要るとして、声明は「検討」との表現にとどめた。仏独伊が圧力強化に慎重な姿勢で、米英カナダと日本は積極的と、各国間の温度差が明らかになった。

 ロシアへの天然ガスの依存度など、国ごとにエネルギー事情は違う。各国とも物価高が直撃し、新型コロナウイルス禍からの景気回復を妨げている。フランス総選挙で左派連合と極右政党が躍進したように、ウクライナ支援を続ける政権に対して、経済への不満をぶつける傾向が見え始めた。各国民の理解を得るためにも、世界経済の安定を急ぐ必要があろう。

 経済制裁は金融決済網からロシアの一部の銀行を排除したのに続き、ロシア産の石炭、石油の段階的な禁輸でも合意し、実行しつつある。だが、ロシアのエネルギー収入は中国やインドによる購入や原油高で逆に増えたとの指摘がある。手詰まり感が出る中、軍事資金への流れを断つ成果を目指し、制裁継続でまとめた努力は重要だ。

 というのもプーチン氏は民主主義国家が民意に押され、侵攻以来の結束が揺らぐことを狙っている。「プーチン氏を勝利させてはいけない」。ドイツのショルツ首相は会見で、G7の役割を端的に表現した。国際秩序と民主主義を守る踏ん張りどころである。来年のサミットは広島で開かれる。さらなるリーダーシップが求められる。