3・11被災者の「独り言」に、学者の関心が向き始めたという。よそから支援や報道で来た人の目線で丸められ、伝えられがちな復興を当事者の目線で振り返る。その糸口になるらしい▲日本災害復興学会のサイトがそんな独り言を拾っている。〈間仕切り出来たけど、安否確認、手間増えた〉〈集会所、だけでは、同じ顔〉には、支援される側の胸中がのぞく。〈「俺の海」って、どんな海〉は押し付けられる復興物語への違和感か▲本紙の広島都市圏版もきのう、見出しで被災者の独り言をすくっていた。〈「足りないのは家族」〉。還暦の男性は西日本豪雨で同居の家族2人を失った。自宅を再建したものの「何かが足りないと思えば、やはり家族」。伝えたい相手のいない、やるせなさが染みる▲おとといは静岡県熱海市の土石流から1年。球磨川の氾濫を招いた熊本豪雨から、きのうで2年。あすは西日本豪雨から4年を迎える。「文月(ふみづき)」との穏やかな呼び名まである7月なのに▲独り言はのみ込まぬように―と例の学会は勧める。「人に知らせてやろうではなく、自分に向け、短文で書く」のが心得だという。つぶやくような調子は心を癒やすのかもしれない。