横山隆雄「黎明深緑(大山)」
下光康洋「木洩れ日の小径」

 第108回光風会展が5日、広島県広島市中区の県立美術館県民ギャラリーで始まった。穏健を旨とする創作の中にも、若手からベテランまでそれぞれ独自の表現が光る。45月に東京であった中央展からの巡回作品に地元作家の作品を加え、絵画110点、工芸25点を展示する。

 絵画では、広島市出身で同会顧問の寺坂公雄(東京)「北杜彩り」が、秋深まる森の穏やかな空気を熟達の筆で伝える。広島支部長の橋本一貫(東広島市)は、長年取り組む「時」のシリーズを出展。ドライフラワーや貝殻を配し、移ろいゆく時間の流れを表した。

 新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵攻を意識した作品も並ぶ。中土居正記(安芸高田市)「再生・100years later」は、世界を取り巻く不穏な気配をモデルの不安げな表情に託した。インドの女性や南国の鳥などをモチーフに据える高山博子(広島市)「光明」は暖色系でまとめ、平和な世界への祈りを込めた。

 中世の風情が残るイタリアの街並みを描き続けている迫田嘉弘(同)、勢いのある筆致で人物や静物を捉えた卜部俊孝(広島県福山市)たちも画境を深める。

 光風奨励賞を受賞したのは、横山隆雄(広島県東広島市)の版画「黎明(れいめい)深緑(大山)」。八つの版で複雑に色を重ね、深みのある緑の陰影を生み出した。柔らかな日差しが女性に降り注ぐ「木洩れ日の小径」の下光康洋(広島市)、鮮やかなバラを主役とした静物画「好日」の川上久子(同)たち、計7人が会員に推挙された。会友には5人が推され、画技を磨いている。

 工芸では、ろうけつ染めの長戸瑞子(広島県府中町)「サンセット」が、赤を主体とした色面構成で目を引く。村上武司(福山市)の木竹「揺らぎのかたち」は、渦が幾重にも重なるような造形にエネルギーが宿る。

 同会と中国新聞社の主催で、10日まで。=敬称略(福田彩乃)