「亡き人と暮らす」と題された小さな企画展を千葉県の国立歴史民俗博物館で見た。私たちは亡き人をどう悼んできたのか。仏壇などの移り変わりをたどる。生活様式の変化もあり最近は「手元供養」というしのび方が広がる▲遺灰を容器やペンダントに保管する。遺影と遺灰が収められる写真立てもある。故人をより身近に感じられるのだろう。写真を基に在りし日の姿を映した人形や精巧なフィギュアを作り、手元に置くという供養もある▲西日本豪雨の発生から4年がたった。家族や大切な人を失い、今も悲しみに暮れる人は少なくあるまい。近しい人の面影をしのびながら再び歩み出す―。故人の写真や形見は、残された人が生きていく上で支えとなるのではないか▲しかし被災地や災害廃棄物から見つかった「思い出の品」は多くが返却されていない。家族写真や位牌(いはい)、手紙などのこと。ボランティアが泥や汚れを落として修復したものもある。引き取り手を待つが捜しに来る人は少なく、廃棄する自治体もある▲思い出の品を改めて手にするのは、つらいのかもしれない。遺族にも事情があるのだろう。災害が残した痛みを思いつつ、防災の誓いを新たにしたい。