「休んでごめんなさい」。広島県内の公立小に勤める50代の男性教諭は、産休に入る同僚の言葉が忘れられない。「新しい命を育もうとしている人にそう言わせて本当に申し訳ない。でも、現場の教員不足はそれほど深刻なんです」

 学校では2019年度以降、同僚3人が出産や病気のため年度途中に学校に来られなくなった。男性教諭のポジションは教務主任。教員のまとめ役として全児童の成績や文書のチェックを任されている。さらに理科を専門的に教える「専科教員」でもあった。

 1人の休みを受け、急きょ学級担任を受け持つことに。理科の授業は担任に差し戻した。他の1人が休んだ際も教頭が担任を持ち、急場をしのいだ。「足りない先生を今いる人数でカバーしようとすると、結局子どもたちの学校生活にしわ寄せがいく。それが申し訳ない」とこぼした。

 県内の50代の女性教諭が勤める別の公立小では21年度当初から1人の教員が病気で出勤できず、他の教員たちでカバーした。「私たちいつ倒れるんじゃろう」との声も漏れ聞こえた。女性教諭は「授業の準備も満足にできない。トラブルへの対応も遅れる」と訴える。

 学校現場でクローズアップされている教員不足。公立の小中高校や特別支援学校で教員に欠員が出てもすぐには埋められない―。その実態が文部科学省の初めての調査で明らかになった。