約半世紀のときを経て、盈進が夏の大舞台に立つ。第104回全国高校野球選手権広島大会で48年ぶり3度目の優勝。古豪復活を果たし、大会第2日(7日)第3試合の1回戦で、鶴岡東(山形)と対戦する。

 ノーシードで臨んだ広島大会は1回戦からの全7試合で先制。リードを一度も許さない、盤石の試合運びを見せた。OBで捕手出身の佐藤監督は20168月に就任し、目指すのは投手を中心とした守り勝つ野球。今チームは、3年生右腕5人で構成する投手陣が躍進を支えた。

 主戦として活躍した向井は140キロ前後の直球を主体に球の切れで勝負する。7試合中6試合に先発し、防御率1・57と安定した投球を披露した。完投は1試合だけ。寺田や岡、佐々木ら力のある投手が控え、継投策にも自信がある。

 チーム打率376厘の打線は、派手さはないが基本に忠実。決勝の尾道戦で勝ち越し打を放った3番秋田が打率615厘を残したほか、7番奥信がチームトップの13打点を挙げるなど切れ目がない。

 試合では「受け入れる」が合言葉。攻撃や守りでミスをしたり、ピンチを迎えたりしても、ありのまま受け止める。反省は試合が終わってから。試合中は気持ちの切り替えに集中することを徹底する。

 1960年に続いて出場した74年は、初戦の2回戦で名古屋電工(愛知・現愛工大名電)を21で破り、甲子園初勝利。3回戦で巨人の原監督が「5番・三塁」で出場した東海大相模(神奈川)に6―13で敗れた。昭和、平成の時を超え、新たな歴史を刻む1勝を目指す。(貞末恭之)

【優勝への歩み】

 11―0大門、18―0三次青陵、7―1福山工、12―2海田、4―3呉港、5―0近大福山、9―4尾道

【佐藤康彦監督】

 

 選手には日頃からの準備が結果の8割、ひょっとしたらそれ以上を占めると言ってきた。その意味では、広島大会で選手はしっかり地に足が着いたプレーをしてくれた。48年ぶりといっても選手にとっては初出場。出場できなかったのは、自分の3年間を含め、過去の先輩のせいだから意識しないよう伝えている。

 このチームの原点は、昨秋の県大会準々決勝で九回(に2点を奪われ、5―6で)逆転負けした広陵戦。その後、広陵は中国大会で優勝し、明治神宮大会でも準優勝。そこまで勝ち進むと思っていなかったので、みんな相当悔しい思いをした。あの強力打線をどう抑えるか、たくさんいる投手をどう打つか。広陵を想定した練習を積んできたから、広島大会はどんな投手や打者が相手でも慌てなかった。

 甲子園に遠足へ行くわけではない。終わって「やっぱり広陵が出場していればよかった」と思われるのは嫌だ。甲子園は未知の世界だけど、盈進球場でやってきた練習を信じて戦う。 

【メンバー抱負】(丸数字は背番号)

 ①向井勇投手 3年

 

 ”自分は切れで勝負するタイプ。甲子園に出てくる選手はすごい選手がいっぱいいるけど、力まず、気持ちで負けない投球をする。他にもいい投手がいるのでみんなで抑える。”

 広島大会では7試合のうち6試合で先発し防御率1・57。準々決勝は8奪三振で完投し、スタミナも証明した。176センチ、77キロ。右投げ左打ち。栗原中出身。