▽のんびり大将 客も脱力

 前回の店「牧ちゃん」に入り浸って飲んでいる馬屋原吉則さん(76)が大将。周りの人から「のんびりしとる」と言われる。35歳まで勤めた会社に不満はなかったが、雑誌で焼き鳥店のフランチャイズ募集広告を見てあっさり転職した。

 メニューと値段は開店当時からほとんど変えていない。料理から経営まですべてを切り盛りするのは大変で、「安定したサラリーマンの立場は今思えば楽だった」と振り返る。目下の悩みはない。何とか食っていけて満足という。「よく飲みよく食べる」が信条。3年前に大腸がんの手術を受けた後も酒を片手に店に立つ。1日に5合は飲む。

 長男の久靖さん(44)が高校生の時から、味付けや焼き方などを見よう見まねで学び手伝ってくれる。今は昼間に別の仕事をしながらの掛け持ち。息子の優しさに甘え、店を抜け出して近所を飲み歩くこともある。

 うらやましい生活だが、酒を飲みながら、のほほんとした馬屋原さんと話していると、こちらも肩の力が抜けていく。一方で、真っ赤に焼けた炭を焼き台にくべる手さばきには、積み重ねてきた40年の重みを感じる。私も息抜きしつつ、ほどほどに頑張り続けよう。