災害から2年後に撮影し、集会所(中央の白い建物)の新築移転などの復旧が進んだ県営緑丘住宅(写真集から)
土石流が集会所(左端)や住居部分を襲った災害6日後の県営緑丘住宅(写真集から)
改修を終えた県営緑丘住宅の前で写真集への思いを話す寶井さん

 2014年8月の広島土砂災害で、被災直後と復興途上の被災地を見比べることができる写真集を広島市安佐南消防署が作った。中心となったのは嘱託職員寶井(たからい)宣久さん(67)=佐伯区。安佐南区の約200カ所で撮影した計1404枚を載せ、災害から3年となる今月20日、同区の自主防災会や公民館に贈る。寶井さんは「未来に豪雨災害の脅威を伝え、多くの犠牲者を忘れないための記録。地域で活用してほしい」と願っている。

 ▽自主防災会などに寄贈へ

 3年前の8月25日から8日間と昨年8月24日からの1週間、八木、緑井地区を中心に通い続け、計2333枚を撮影した。同じアングルで撮り、特に被害が多い場所は、2~7枚をつなぎ合わせてパノラマ写真に加工。レンズを向けた角度も記した地図を載せ、通し番号を付けて災害直後と2年後を比べやすくした。

 発生6日後の県営緑丘住宅(八木3丁目)では、山から崩れ落ちた巨岩、土石流で倒壊した集会所などを撮影。道路を埋める流木、行方不明者の捜索を続ける隊員や見守る家族も捉えた。昨年の写真では、同住宅の集会所が新築移転され、ほぼ現在の姿を取り戻している様子を伝えている。

 全壊した本堂を修復した権現山毘沙門堂(緑井町)、被災家屋が撤去され更地が残る阿武の里、八木ケ丘の両団地(いずれも八木地区)なども載せた。

 3年前の発生当時は、職場の同署警防課に続々と被害の情報が届いた。06年から11年の定年退職まで同区で住民の防災指導を担い、避難訓練の企画や避難所運営マニュアルの作成に協力した。「愛着のある地域で多くの人が犠牲となり、悔しさが込み上げた。経験のない災害の実態を克明に記さなければと思った」

 5セットを作成。A3判、各56ページ。20日から梅林学区自主防災会連合会が置く梅林集会所と佐東公民館で閲覧できる。「災害を風化させてはいけない。教訓を未来に伝える一冊になってほしい」(木原由維)