松井市長(右)に平和への思いを語る登世岡さん

 広島市の松井一実市長が読み上げることしの平和宣言に被爆体験を引用される東区の登世岡浩治さん(87)が3日、市役所を訪れ、松井市長と面会した。「平和の大切さを今まで以上に伝えていきたい」と力を込めた。

 登世岡さんは東区の被爆建物、安楽寺の前住職。旧制崇徳中(現崇徳高)4年だった15歳の時、爆心地から4・1キロの南観音町(現西区)の動員先の工場で被爆した。

 平和宣言には、2014年に市へ寄せた被爆体験から「地獄図の中で亡くなっていった知人、友人のことを偲(しの)ぶと、今でも耐えられない気持ちになります」などの部分が引用される。原爆死した弟の純治さん=当時(12)=への思いも込めたという登世岡さんは面会後、これまでの証言活動を振り返り「平和の尊さを2人分伝えてきた」と話した。

 また17歳で被爆し、すでに亡くなった藤村幸男さんの体験談も引用。核保有国の指導者たちに一刻も早い原水爆の廃絶を訴える。市によると、死没者の体験談引用は初めて。(渡辺裕明)