緊急復旧事業の規定の高さに14日に達した砂防ダム(広島市安佐南区緑井8丁目)

 広島土砂災害の被災地で国や広島県が緊急復旧事業として進めていた砂防・治山ダムの整備が完了した。計57カ所のうち最後の1カ所となっていた広島市安佐南区緑井8丁目の砂防ダムが規定の高さに到達した。発生から約2年9カ月。市は被災地域で続けてきた、大雨時に早めの避難を住民に促す暫定的な運用を終了する。

 同事業は安佐南、安佐北両区の被災地で国土交通省が24カ所、農林水産省が10カ所、県が23カ所の砂防・治山ダムの整備を担当。56カ所が完了し、国交省が緑井8丁目の渓流に建設中の砂防ダムだけとなっていた。

 同省太田川河川事務所によると、コンクリートの打ち込みが進み、14日に緊急事業と位置付ける高さ5・5メートルに達した。災害時の豪雨で不安定な状態になっている上流の土砂約千立方メートルが崩れてもせき止められる最低限の規模という。同ダムは用地確保が遅れ着工がずれ込み、今年の梅雨期までの完了を目指していた。

 国交省は24カ所のうち、このダムを含む20カ所で、災害時と同程度の豪雨にも耐えられるよう、ダムのかさ上げなどの工事を継続。完了は2019年度中の予定。

 市は両区の被災地で災害発生直後から、避難勧告などを早めに出す暫定運用をしてきた。緊急復旧事業が完了したエリアから順次、他地域と同じ運用に切り替え、緑井8丁目の緑井上組町内会だけが残っていた。市災害対策課は今週中にも同町内会への避難勧告などの運用を通常に戻す方針。

 砂防ダム近くに住む洞木武司さん(67)は「大雨が降ると不安だったが、ひと安心だ。今後は遠方の避難所に行くのが大変な高齢者のために一時待避所を整備するなど、ソフト面の対策に力を入れてほしい」と話した。(長久豪佑)