水害を伝承する石碑を訪ね歩き、特徴を記録する小山さん(広島市安芸区)

 広島県内であった水害の被害や復旧の経緯を刻んだ各地の石碑計38基を、広島大のグループが冊子にまとめた。防災教育に役立ててもらうため、読むのが難しい漢文の碑文には現代語の訳を付けた。県立歴史民俗資料館(三次市)によると、災害を後世に伝える石碑を県全域で網羅して解説した文献は例がないという。

 ▽「防災教育に活用を」

 広島市安芸区の高校講師小山耕平さん(23)が、2014年8月の広島土砂災害をきっかけに、広島大教育学部の在学中に研究を始めた。自治体史や郷土史研究家の情報を基に2年間かけて、1909年建立の碑(安芸区)から広島土砂災害の慰霊碑(安佐南区)まで計38基を確認した。

 冊子はA4判、23ページ。それぞれの名称や設置場所、災害の概要を記載する。漢文は、同大大学院教育学研究科2年の藤本理志さん(24)が現代語に訳した。

 38基のうち、戦前の15基はおおむね碑石が大きく、10基は漢文だった。突然の土石流で村人が対処できなかったことや、支援を受けて村が復興した経緯を詳しく伝えようとする記述が目立った。

 戦後の23基は小型化し、慰霊や復旧記念の記述に重点を置く流れが見られた。印刷の普及で、石碑を建てる目的が変化してきた可能性があるという。

 30市区町別では広島市安佐南区が7基で最も多い。廿日市市と安芸太田町が各4基で続くなど、県西部に多く存在した。局所的に被害が出た水害の方が、石碑を建立しやすい傾向も浮かび上がった。

 小山さんは「石碑は文献と比べて失われにくく、持続的に情報を発信できる良さがある。解説板などがあれば、災害をより伝承しやすくなる」と語る。

 冊子は広島大総合博物館(東広島市)のホームページで閲覧できる。掲載した38基以外の情報提供も呼び掛ける。同研究科の熊原康博准教授=電話082(424)7069。(馬場洋太)