イタチの毛で筆を作る元伝統工芸士の中川さん

 広島県熊野町の特産品、熊野筆に使うイタチやリスなど小動物の毛の輸入が減っている。国際的な流通量が減少傾向にある中、新型コロナウイルスの流行を機に中国政府が野生動物の取引を禁止したためとみられる。特に熊野筆の主な原料であるイタチの毛は、ことしに入って各生産者ともほぼ入手できていない状態が続く。「このままでは高品質な筆が作れなくなる」と関係者は危機感を募らせている。

 熊野筆の事業協同組合によると、熊野筆はイタチやヤギ、馬などの毛を使用している。いずれも食用や毛皮に使われた後に残った毛を、中国や北米から輸入している。しかし、10年ほど前から中国で筆の生産が増えたり、有名ブランドが動物愛護の観点で毛皮製品を作らなくなったりして毛の流通量が減少した。

 さらに中国政府が昨年2月、新型コロナの感染拡大を受けて野生動物の取引を禁止したことが、毛不足に追い打ちをかけた。