ジャージーをはいて自転車で登校する甲奴中の生徒

 広島県北3市の市立中で、制服のスカートとスラックスの選択制を導入する学校が増えている。自転車通学の生徒の防寒や学校生活での機能性を重視したり、本人の好みを尊重したり。各校が身だしなみや服装などを定めた「生徒指導規定」の見直しのタイミングもきっかけになっている。

 生徒の大半が自転車で登校するという甲奴中(三次市甲奴町)。冬は、ほとんどの女子生徒がスカートの下にジャージーを着用して通う。砂走勝美校長は「スカートに限定するのはおかしい」と、昨秋のPTA役員会でスラックスとの選択制について説明。生徒会の新役員からも賛同を得て、今春から取り入れる。

 生徒会長の2年竹田実希さん(14)は「スカートだと寒いし、掃除の時に裾が床に着いて気になる。スラックスの方が動きやすい」と歓迎する。

 甲田中(安芸高田市甲田町)も4月から選べるようにする。生徒指導規定を見直す中で、本人の好みを尊重しようと踏み切った。県内の高校に広がっている状況も考慮したという。同校によると、寒さ対策になると在校生や保護者に好評。庄原市内でも気候に応じて使い分けられるように、昨春から段階的に導入している学校がある。

 昨年度から規定の見直しをしてきた塩町中(三次市大田幸町)の角浜慶司校長は「社会の流れで、過度な性による区別はふさわしくなく、選べるのは大事」と強調。保護者の要望を受け、今春から選択制を始める。「多様性を考えるきっかけにもなる」と教育面の効果も期待している。県北では他にも、来春の導入に向けて検討する学校がある。

 1997年に防寒用として女子用スラックスの販売を始めた菅公学生服(岡山市北区)によると、雪の多い北海道や長野県で採用が広がり、2014年には全国で中高約450校が同社のスラックスを採用した。文部科学省が性的少数者の児童生徒への配慮を求める通知を出した15年ごろから増加傾向に拍車が掛かり、20年3月には約千校になった。広島県内でも検討中を含め、採用する学校数は伸びているという。(小山顕)

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