線路の向こうに、青空がくっきり
列車内で「千と千尋の神隠し」の名場面のポーズをとる市川さん
田園地帯の七塚駅を出発する列車
杉玉がつるされた東城の造り酒屋
東城の花屋兼カフェはクリスマスの装い
近藤令奈さん
市川愛実さん
バス&レールどっちも割きっぷ

 ▽遮る物なく空きれい/沿線 レトロな街並み

 秋も深まった11月中旬、女子学生2人が広島県北部を走るJR芸備線の旅に出ました。乗客が少ない区間の存続が危ぶまれ、寂れた印象があるかもしれませんが、駅がおしゃれに改装されていたり、レトロな街並みが楽しめたりと、沿線には「映(ば)えるスポット」がたくさん。2人は非日常の風景に心を奪われたようです。

 旅に出たのは、広島工業大4年近藤令奈(れな)さん(21)と広島修道大3年市川愛実(まなみ)さん(21)。芸備線と高速バスの片道券がセットになったお得な切符「バス&レールどっちも割きっぷ」を使い、JR広島駅から庄原行き高速バスに乗り込んだ。

 庄原市の玄関口、備後庄原駅は昨秋、大正ロマン風に改装されたばかり。「わー、おしゃれ」。すかさずスマートフォンを向け、待合室の天井に飾られた紫や黄緑のドライフラワーをパチリ。

 庄原駅から高速バスを乗り継ぎ、東城(庄原市東城町)へ。城下町の面影を残す街並みで、出合ったのは黒いしっくい壁の元旅館、杉玉をつるした造り酒屋…。「『鬼滅(きめつ)の刃(やいば)』の世界みたいで、エモい」「和装で来たら盛り上がりそう」。「昭和レトロ」の風景に引きつけられていた。

 東城駅からは、いよいよ芸備線の旅。車中では庄原市主催の「芸備線の車窓からのフォトコンテスト」に応募する写真を撮った。芸備線の乗客を増やそうと、列車内でしか撮れない写真に限った異色のフォトコンで、金賞は賞金5万円。撮影にも気合が入る。

 森林浴のように木立を駆け抜けていく1両の列車。2人は運転台の横にかぶりつき、流れゆく線路やトンネルを写真に収めていく。

 「電線がない」「ほんとだ。青空がきれいに写る!」。途中の備後落合駅(庄原市)で、三次行きに乗り換え。いくつものトンネルをくぐり、西城川の渓谷を下っていく。

 日が暮れると、列車はお客もまばらに。「都会の電車だと他の人が写っちゃうけど、ここならいいね」。市川さんは座席に腰掛けたまま、アニメ映画「千と千尋の神隠し」で少女が列車で旅をする名場面のポーズを取り、近藤さんが写真に収めた。

 一日を振り返り「写真を撮る目的のお出かけにぴったり」「インスタ映えする撮影スポットを車内アナウンスや地図で教えてくれたら、もっと楽しめる」と2人。広島から往復5千円以内で楽しめる、非日常へのトリップ。鉄道ファンだけに独占させておくのはもったいない。(馬場洋太)

 ※写真はいずれも近藤さんと市川さんが撮影

 ▽割安切符 お薦め2種

 ■バス&レールどっちも割きっぷ

 広島―三次間でJR芸備線と高速バスを片道ずつ利用する割引切符。通常は往復2870円のところ、ほぼ半額の1500円と格安だ。来年3月末まで。広島駅北口のバスきっぷ売り場などで販売。利用当日でも購入できる。三次市内のタクシー利用券(300円分)付き。備北交通Tel0824(72)2122。

 ■ひろしま1デイきっぷ

 インターネット予約専用で、土日祝日だけ使える切符。購入は12月25日まで。芸備線広島―東城を含む広島県内のJR在来線が乗り放題で2500円。前日までに要予約。

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 女子学生2人が芸備線を旅した一日の詳しい記事は、投稿サイト「note」で。