趣味・食・遊ぶ

言ノ葉ノ箱
歌人、作家として活動する東さんが短歌を通じて綴るエッセー。1963年、広島県安佐町(現広島市安佐北区)生まれ。96年、第7回歌壇賞受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』(ともに本阿弥書店)、小説『長崎くんの指』(マガジンハウス)、『とりつくしま』(筑摩書房)、『ゆずゆずり』(集英社)、『薬屋のタバサ』(新潮社)、『らいほうさんの場所』(文藝春秋)、『甘い水』(リトルモア)、絵本『あめ ぽぽぽ』『ほわほわさくら』(ともにくもん出版)、エッセー集『今日のビタミン*短歌添え*』(本阿弥書店)、詩歌集『回転ドアは、順番に』(穂村弘と共著/ちくま文庫)、などがある。「言ノ葉ノ箱」ではカメラ撮影にも挑んでいます。

記事一覧

  • 復活への命の道 (2020/11/30) 

     冬が近づき、新型コロナウイルスの第3波がささやかれている。経済活動の再開が推進される一方で、医療的な側面から自粛が求められるいびつな状態が続き、どのように行動すればいいのか戸惑っている。  たった…

  • 神楽坂の細道に (2020/11/2) 

     神楽坂という名の坂を初めて歩いた日は、短歌の会に初めて参加した日でもあった。今から30年ほど前のことで、当時所属していた短歌会の歌会がこの坂を上った先にあった日本出版クラブ会館の一室で行われていた…

  • 解き放たれた希(のぞ)み (2020/9/29) 

     人には、誰かに教わることなく、好きだな、と思えることがあると思う。自分の子どもが赤ちゃんだったとき、思っている以上に好き嫌いがはっきりしていると感じた。なにかを選ばせると、即座に好きな方を選ぶし、…

  • 水に生きる者 (2020/8/28) 

     8月後半になっても、連日猛烈な暑さが続いている。マスク着用が求められたままで、本当に暑苦しくて息苦しい。少しでも涼しい気分を味わえればと、「すみだ水族館」に出かけた。東京スカイツリー隣接の施設「東…

  • 囲いの向こうに (2020/7/30) 

     2020年の梅雨がなかなか明けないまま、7月が過ぎていく。本来ならば7月24日に東京五輪の開会式が行われ、今ごろは熱戦の最中だったはずなのだ。カレンダーのこの日に赤い文字で印刷された「スポーツの日…

  • 丘の上から (2020/6/30) 

     ≪稲は刈り取られた寒い田甫(たんぼ)を見遥るかす道灌山の婆の茶店に腰を下ろした時、居士は、 「お菓子をおくれ。」と言った。茶店の婆さんは大豆を飴(あめ)で固めたような駄菓子を一山持って来た。居士は、…

  • 路地の花々 (2020/6/1) 

     5月25日に、新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言の解除を政府が発表した。4月初めから5月にかけての、もっとも心地がよくて草萌える美しい季節に、外出しないことが求められていたことにな…

  • 日本で初めての公園 (2020/4/30) 

     関係を淡くすることを「距離を置く」と比喩的に表現するが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、どんな人とも物理的な距離を置く必要にせまられている。  私が住んでいる緊急事態宣言下の東京は、たいていの…

  • 川の桜 (2020/3/30) 

     子どものとき、いわゆる転勤族で、数年おきに引っ越しをした。福岡市と広島市に住んでいたときは、家のすぐ近くに川があった。記憶の中の川の水は、残念ながら澄み切っているとは言い難く、どちらも少々濁ってい…

  • 日没前後の街で (2020/3/2) 

     青年団の舞台「東京ノート」(作・演出平田オリザ)を観劇するために、吉祥寺駅で降りた。住宅地としても人気のこの街の駅ビルはすっかりリニューアルされたが、昔のままの佇(たたず)まいの商店街も残っている…