趣味・食・遊ぶ

言ノ葉ノ箱
歌人、作家として活動する東さんが短歌を通じて綴るエッセー。1963年、広島県安佐町(現広島市安佐北区)生まれ。96年、第7回歌壇賞受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』(ともに本阿弥書店)、小説『長崎くんの指』(マガジンハウス)、『とりつくしま』(筑摩書房)、『ゆずゆずり』(集英社)、『薬屋のタバサ』(新潮社)、『らいほうさんの場所』(文藝春秋)、『甘い水』(リトルモア)、絵本『あめ ぽぽぽ』『ほわほわさくら』(ともにくもん出版)、エッセー集『今日のビタミン*短歌添え*』(本阿弥書店)、詩歌集『回転ドアは、順番に』(穂村弘と共著/ちくま文庫)、などがある。「言ノ葉ノ箱」ではカメラ撮影にも挑んでいます。

記事一覧

  • 物語がめぐる場所 (2016/5/2) 

     子どもの頃の記憶は、断片的である。さまざまな時間が、コラージュのように脈絡なく重なる。現実の世界を見ながらも、想像の世界へ意識がふわりと移動して、何が現実で何が夢だったのか判別が難しい。絵本の中に…

  • 人生の不思議さ (2016/3/30) 

     一昨年に出版した小説「いとの森の家」が、第31回坪田譲治文学賞を受賞することになり、先月、岡山市での授賞式に出席した。  坪田譲治氏は明治23(1890)年に岡山で生まれ、「風の中の子供」などの児…

  • いにしえの歌劇 (2016/3/27) 

     2月11日から14日にかけて、東京の初台にある新国立劇場小劇場で、私が脚本を書いたミュージカル「姫神楽」が上演された。これは、「古事記」の中の、天岩戸(あまのいわと)のエピソードを下敷きに、オリジ…

  • 時の番人 (2016/2/8) 

     今年の正月は、一足飛びに春がやってきたようなあたたかい日が続いたが、1月半ばを過ぎて、突然寒くなった。都心でも雪が積もったが、朝になって雨にかわり、大方は解けてしまった。

  • 文士たちの村 (2015/12/24) 

     東京の田端駅にある「田端文士村記念館」から、リニューアルの通知をいただき、久しぶりに訪ねた。田端には、芥川龍之介をはじめ、室生犀星や堀辰雄、漫画家の田河水泡など多彩な文化人が住み、交流を深めていた…

  • 越中の歌 (2015/12/24) 

     今年開業した北陸新幹線に乗って富山を訪ねた。これまで東京から富山に向かうには、飛行機で行くか、電車を何度も乗り継いで行かなければいけなかったのだが、北陸新幹線なら直通で2時間あまり。清潔な外観と落…

  • ひそかな祈り (2015/11/17) 

     徳川時代に禁止されていたキリスト教の信者のことをキリシタンと呼ぶが、この言葉を聞くと、長崎の天草という土地が即座に思い出される。しかし大分県の竹田市にも多くのキリシタンがいた。日本八大布教地の一つ…

  • 文明の心 (2015/10/2) 

     群馬県高崎市にある、県立土屋文明記念文学館を訪ねた。この地が「上郊(かみさと)村」と呼ばれていた明治の半ばに生まれた文明は、斎藤茂吉から歌誌「アララギ」の編集発行人を引き継ぎ、平成2(1990)年…

  • 時のすずしさ (2015/8/31) 

     真夏の京都を訪ねた。今年の夏は全国的に記録が塗り変わるような猛暑続きで、古都を照らす光も、やはり熱く、強いものだった。盆地ゆえ、昼間の熱い空気をとじこめて、夜になってもむしっとして暑い。  しかし…

  • 広島の、あの道へ (2015/8/10) 

     この連載は、2009年の1月から始めたのだが、昨年末までの6年分を一区切りとして、フォトエッセー集「七つ空、二つ水」(キノブックス)にまとめた。その刊行記念イベントのために、久しぶりに広島を訪ねた…