
記事一覧
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日本で初めての公園 (2020/4/30)
関係を淡くすることを「距離を置く」と比喩的に表現するが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、どんな人とも物理的な距離を置く必要にせまられている。 私が住んでいる緊急事態宣言下の東京は、たいていの…
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川の桜 (2020/3/30)
子どものとき、いわゆる転勤族で、数年おきに引っ越しをした。福岡市と広島市に住んでいたときは、家のすぐ近くに川があった。記憶の中の川の水は、残念ながら澄み切っているとは言い難く、どちらも少々濁ってい…
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日没前後の街で (2020/3/2)
青年団の舞台「東京ノート」(作・演出平田オリザ)を観劇するために、吉祥寺駅で降りた。住宅地としても人気のこの街の駅ビルはすっかりリニューアルされたが、昔のままの佇(たたず)まいの商店街も残っている…
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人間と人間以外 (2020/1/30)
今月、第21回NHK全国短歌大会がNHKホールで行われ、小学生の部の選者として参加した。大賞に選んだ歌の一首が次の歌である。 なつさがしへびのぬけがらみつけたよつるつるしててひらべったいよ …
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乱歩の家 (2019/12/21)
江戸川乱歩は、生涯に46回も引っ越したという。大変な引っ越し魔だが、47番目に住んだ東京・池袋の家には、70歳で亡くなるまで、31年間定住した。最初は借家として借りていた家を気に入り、戦後に買い取…
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眠りを流し、祈りをうたう (2019/11/29)
今、短歌や小説、エッセー、イラストレーションなど、様々な仕事をしているが、創作の作業は、基本的に一人で行っている。一人でする仕事の一番の敵は、眠気である。どんなに時間があったとしても、集中力が伴わ…
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空に吸われる (2019/10/30)
岩手県で毎年行われている高校の総合文化祭「文芸祭」の講師として盛岡市を訪ねた。盛岡といえば、石川啄木が青春時代を過ごした地である。今を生きる岩手県の高校生らと対話をしつつ、啄木の歌を思い出していた…
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神の遊び場 (2019/9/30)
宮崎県延岡市に「神さん山」と呼ばれる場所がある。今年2月に宮崎で行われた神話をめぐるイベントに参加した縁で、先月末にまた宮崎を訪ねることになった。 宮崎空港から延岡市を北上し、緑豊かな山道を車で…
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佐賀の笹井宏之さん (2019/8/29)
今年の夏、全国高校総合文化祭「さが総文」が佐賀県で開かれた。私は、文芸部門の特別講師として、佐賀県有田町出身の歌人、笹井宏之さんについて語った。 笹井さんの最初の歌集は、2008年1月、25歳の…
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ほおずきに願いを (2019/7/31)
東京都文京区にある光源寺では、毎年7月9日と10日に、「四万六千日 ほおずき千成り市」が開かれている。この日にお参りすれば、4万6千日分、つまり126年分の功徳を得られるのだという。間違いなく寿命…