趣味・食・遊ぶ

言ノ葉ノ箱
歌人、作家として活動する東さんが短歌を通じて綴るエッセー。1963年、広島県安佐町(現広島市安佐北区)生まれ。96年、第7回歌壇賞受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』(ともに本阿弥書店)、小説『長崎くんの指』(マガジンハウス)、『とりつくしま』(筑摩書房)、『ゆずゆずり』(集英社)、『薬屋のタバサ』(新潮社)、『らいほうさんの場所』(文藝春秋)、『甘い水』(リトルモア)、絵本『あめ ぽぽぽ』『ほわほわさくら』(ともにくもん出版)、エッセー集『今日のビタミン*短歌添え*』(本阿弥書店)、詩歌集『回転ドアは、順番に』(穂村弘と共著/ちくま文庫)、などがある。「言ノ葉ノ箱」ではカメラ撮影にも挑んでいます。

記事一覧

  • 離島の祭り (2016/12/1) 

     先日、沖縄の八重山諸島を訪ねた。11月に入っていたにもかかわらず、日中の日差しは真夏のようにまぶしく、暑いほどだった。  飛行機で石垣島に向かい、定期船を利用して小浜島、西表島、竹富島等を訪ねた。…

  • そぞろ歩く漱石 (2016/10/31) 

     先日、早稲田大学の短詩型の演習の授業で吟行会をした。秋の真昼、近所をそぞろ歩いて俳句を詠むのである。ちょうどNHKで「夏目漱石の妻」というドラマを放送していたこともあり、大学近くの漱石公園に行って…

  • 国を超える人の心 (2016/10/4) 

     3歳から10歳まで、父の仕事の都合で福岡県に住んでいた。最初に住んだ福岡市内の町は海が近く、よく遊びに行っていた。海の向こうの陸地は韓国だよ、と教えくれたのは、誰だったのだろう。  去る9月22日…

  • 火山の苔 (2016/8/31) 

     8月、ブラジルのリオデジャネイロでのオリンピックが始まり、終わった。卓球やバドミントン等、緊迫した試合にライブ映像で見たものもあり、暑さもふき飛んだ。  大会の最後の方に行われた新体操女子の演技は…

  • 岩国の森と海 (2016/7/29) 

     先日、東京の「ポレポレ東中野」という小さな映画館で、「ふたりの桃源郷」という映画を見た。岩国市美和町の山奥で暮らす老夫婦とその娘たちを描いたドキュメンタリーである。25年に及ぶ撮影から浮き彫りにな…

  • 息づく食の道具たち (2016/6/29) 

     調理道具などを扱う店が軒を連ねる東京都台東区の「かっぱ橋」と呼ばれる地域は、漢字で書くと「合羽橋」となる。私財を投じて、水はけの悪かったこの地の治水を行った合羽屋喜八という人物にちなんでいる、とい…

  • 5年目の夏に (2016/6/6) 

     NHKのハートネットTVによる「震災を詠む2016」というイベントが、福島県郡山市にある奥羽大で行われた。この番組では、東日本震災が起きた2011年から震災に関わる「震災短歌」を毎年募集しており、…

  • 物語がめぐる場所 (2016/5/2) 

     子どもの頃の記憶は、断片的である。さまざまな時間が、コラージュのように脈絡なく重なる。現実の世界を見ながらも、想像の世界へ意識がふわりと移動して、何が現実で何が夢だったのか判別が難しい。絵本の中に…

  • 人生の不思議さ (2016/3/30) 

     一昨年に出版した小説「いとの森の家」が、第31回坪田譲治文学賞を受賞することになり、先月、岡山市での授賞式に出席した。  坪田譲治氏は明治23(1890)年に岡山で生まれ、「風の中の子供」などの児…

  • いにしえの歌劇 (2016/3/27) 

     2月11日から14日にかけて、東京の初台にある新国立劇場小劇場で、私が脚本を書いたミュージカル「姫神楽」が上演された。これは、「古事記」の中の、天岩戸(あまのいわと)のエピソードを下敷きに、オリジ…