趣味・食・遊ぶ

言ノ葉ノ箱
歌人、作家として活動する東さんが短歌を通じて綴るエッセー。1963年、広島県安佐町(現広島市安佐北区)生まれ。96年、第7回歌壇賞受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』(ともに本阿弥書店)、小説『長崎くんの指』(マガジンハウス)、『とりつくしま』(筑摩書房)、『ゆずゆずり』(集英社)、『薬屋のタバサ』(新潮社)、『らいほうさんの場所』(文藝春秋)、『甘い水』(リトルモア)、絵本『あめ ぽぽぽ』『ほわほわさくら』(ともにくもん出版)、エッセー集『今日のビタミン*短歌添え*』(本阿弥書店)、詩歌集『回転ドアは、順番に』(穂村弘と共著/ちくま文庫)、などがある。「言ノ葉ノ箱」ではカメラ撮影にも挑んでいます。

記事一覧

  • 再生アパートに歌を (2017/6/28) 

     福岡市中心部の川沿いの一角に、冷泉荘と呼ばれる場所がある。昭和30年代に住居用に建てられたアパートだが、2000年代に入ってからリノベーションされ、現在はさまざまな店舗として利用されている。かつて…

  • 海の学校 (2017/5/30) 

     連休を利用して久しぶりに仙台を訪ねた。明るい光を浴びながら、6年前の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた荒浜へ足を延ばした。  今も更地のままとなっている中に、ぽつんと建つ4階建ての四角い建物が目を…

  • こぼれゆく花 (2017/5/1) 

     4月の大学は、入学したて、進級したての学生の前向きな空気が満ちていてにぎやかである。そのにぎやかさを、春の花々がかきたてる。中でもやはり、桜は特別な花だと思う。  今授業で使っている大教室の一番後…

  • 半島の生と死 (2017/4/3) 

     福岡県の西にある半島、糸島地方を舞台にした小説「いとの森の家」(ポプラ社)をきっかけに、一昨年末より「糸島観光大使」をつとめている。今月、福岡市内で行われた短歌のイベントにからめて、若手歌人7人を…

  • 美しい暮し (2017/2/27) 

     子どもの頃、学習系の雑誌と少女漫画誌を毎月1冊ずつ買って読んでいた。それらの本を隅々まで読みつつも、親が買ってきた雑誌を読むのも好きだった。父の買ってくる週刊誌は怖すぎるので、母の雑誌をよく読んで…

  • 信念と悲しみ (2017/1/30) 

     2017年が始まったその日、映画「この世界の片隅に」を家族で観(み)た。こうの史代の同名漫画を原作にしたもので、戦時下の呉に嫁いだ若い女性、すずの目を通じてその時代の生活が淡々と描かれ、生きるとい…

  • 龍馬のいた町 (2016/12/26) 

     11月の終わりに高知県に行った。東京から飛行機で向かったのだが、高知の空港は、地元出身の坂本龍馬の名を冠して、高知龍馬空港と呼ばれている。南国土佐という言葉通り、11月だというのに昼間は日差しが強…

  • 離島の祭り (2016/12/1) 

     先日、沖縄の八重山諸島を訪ねた。11月に入っていたにもかかわらず、日中の日差しは真夏のようにまぶしく、暑いほどだった。  飛行機で石垣島に向かい、定期船を利用して小浜島、西表島、竹富島等を訪ねた。…

  • そぞろ歩く漱石 (2016/10/31) 

     先日、早稲田大学の短詩型の演習の授業で吟行会をした。秋の真昼、近所をそぞろ歩いて俳句を詠むのである。ちょうどNHKで「夏目漱石の妻」というドラマを放送していたこともあり、大学近くの漱石公園に行って…

  • 国を超える人の心 (2016/10/4) 

     3歳から10歳まで、父の仕事の都合で福岡県に住んでいた。最初に住んだ福岡市内の町は海が近く、よく遊びに行っていた。海の向こうの陸地は韓国だよ、と教えくれたのは、誰だったのだろう。  去る9月22日…