趣味・食・遊ぶ

言ノ葉ノ箱
歌人、作家として活動する東さんが短歌を通じて綴るエッセー。1963年、広島県安佐町(現広島市安佐北区)生まれ。96年、第7回歌壇賞受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』(ともに本阿弥書店)、小説『長崎くんの指』(マガジンハウス)、『とりつくしま』(筑摩書房)、『ゆずゆずり』(集英社)、『薬屋のタバサ』(新潮社)、『らいほうさんの場所』(文藝春秋)、『甘い水』(リトルモア)、絵本『あめ ぽぽぽ』『ほわほわさくら』(ともにくもん出版)、エッセー集『今日のビタミン*短歌添え*』(本阿弥書店)、詩歌集『回転ドアは、順番に』(穂村弘と共著/ちくま文庫)、などがある。「言ノ葉ノ箱」ではカメラ撮影にも挑んでいます。

記事一覧

  • ヒマラヤ杉のあたり (2019/1/30) 

     2007年の1年間、ふらんす堂(出版社)のウェブサイトで短歌日記を連載していた。1月28日には、次の短歌を寄せた。 あんなあ、と言うタケちゃんの物語ヒマラヤ杉のあたりまできた  「タケちゃん」…

  • 冬を灯す (2018/12/21) 

     今年の秋から、立教大学の文学部で演習の授業を担当し、短歌を教えている。立教大学は、明治7(1874)年に前身が設立されたミッション系の学校として大学の中に教会がある。12月に入ると、東京・池袋のキ…

  • 海をわたる橋の下に (2018/11/28) 

     橋といえば、たいていは川をわたるためのものである。こちらの岸からあちらの岸へ。けれども時に、海を越える橋がある。  瀬戸大橋は、瀬戸の内海を越えて本州と四国を結ぶ。この橋を通るたびに、ほんとうに特…

  • 本の祭典 (2018/11/1) 

     毎年秋になると、東京・神田神保町の靖国通りに屋台が並ぶ。神田古本まつりである。古本がぎっしりつまった屋台を出しているのは、通り沿いに並ぶ古書店である。  神田の古書店は、店舗ごとに専門としている分…

  • 植物たちの楽園 (2018/10/2) 

     東京都文京区にある、小石川植物園を訪ねた。この植物園は、東京大学の研究機関に付属していて、江戸時代の徳川幕府によって設けられた「小石川御薬園」という日本最古の植物園がもとになっている。傾斜地や泉水…

  • 心踊る法王の街 (2018/8/31) 

     7月末、短歌の友人たちとフランスを訪ねた。主に、初めて訪ねる南仏を巡った。今年の日本の夏は連日猛暑が続いたが、フランスもかなり暑かった。クーラーを設置していない店も多いので、夏といっても普段はこれ…

  • 墓と文字 (2018/7/30) 

     なぜ夏は、魂が戻ってくる季節なのだろう。猛暑が続く中、ふとそんなことを思う。あまりに暑いと、身体も頭もうまく動かない。畳の上に寝転がって昼寝でもするのが一番だ、と思ってしまう。  一年に一度、魂は…

  • 紫陽花とハブラシ (2018/6/28) 

     これまでいろいろな街に転居しながら生きてきたが、どの街にも夏が始まる少し前に、紫陽花(あじさい)が咲いた。紫陽花の、花に見える部分は本当は花ではなく、萼(がく)なのだということを教えてもらったのは…

  • オキナグサの咲く庭に (2018/5/31) 

     オキナグサと呼ばれる野草を、歌人の斎藤茂吉の生家の庭で初めて見た。白くて長い綿毛がのびる独特の形が翁(おきな)=おじいさんに似ていることから、その名がついた。白い髭(ひげ)を生やした姿のイメージが強…

  • つつじの功労 (2018/4/27) 

     この春、東京の仕事場を、文京区の千駄木という街に移転した。このあたりは「谷根千」と呼ばれる。谷中と根津、そして千駄木の地名から頭漢字を一つずつ取ってつけられた名前である。「谷根千(地域雑誌 谷中・…