趣味・食・遊ぶ

言ノ葉ノ箱
歌人、作家として活動する東さんが短歌を通じて綴るエッセー。1963年、広島県安佐町(現広島市安佐北区)生まれ。96年、第7回歌壇賞受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』(ともに本阿弥書店)、小説『長崎くんの指』(マガジンハウス)、『とりつくしま』(筑摩書房)、『ゆずゆずり』(集英社)、『薬屋のタバサ』(新潮社)、『らいほうさんの場所』(文藝春秋)、『甘い水』(リトルモア)、絵本『あめ ぽぽぽ』『ほわほわさくら』(ともにくもん出版)、エッセー集『今日のビタミン*短歌添え*』(本阿弥書店)、詩歌集『回転ドアは、順番に』(穂村弘と共著/ちくま文庫)、などがある。「言ノ葉ノ箱」ではカメラ撮影にも挑んでいます。

記事一覧

  • 詩人のりんご (2018/4/5) 

     何メートルもある巨大なパネルに、つやつやした赤いりんごが一つ、ぽつりと設置してある。パネルには一面文字が書かれていて、「りんご」という言葉がちりばめられている。 ≪紅いということはできない、色では…

  • カルデラの中の街 (2018/2/28) 

     熊本県にある阿蘇山を訪ねた。この山には、世界でも最大級のカルデラがあり、その中に5万人もの人が住んでいる。子どものころ、家族で遊びに行ったことがあるのだが、馬のいる草原(草千里)に行っただけだった…

  • 雪とこころ (2018/1/29) 

     東京に、4年ぶりに大雪が降った。朝から重たげな雲に覆われていたのだが、午前中から少しずつ降り出し、午後には吹雪となり、みるみる積もりはじめた。大雪警報が発令されたため、早めに授業を切り上げて生徒を…

  • 痕跡にト書き (2017/12/22) 

     東京という街は、いつもどこかが工事中である。30年前に大阪からやってきた時もそう思ったが、ここ数年は、オリンピック開催の影響なのか、工事現場を見かける頻度が増している。  工事のための覆いが取り払…

  • 生まれ落ちる時を (2017/11/28) 

     とある晴れた休日、そうだ、国会議事堂に行ってみよう、と思い立った。東京・千代田区をテーマにした短歌連作を作ってほしいという依頼があったからだ。短歌の商業誌である「短歌研究」という雑誌からの依頼なの…

  • 時をこえる灯 (2017/10/31) 

     10月の初日に、「広島県歌人協会」の秋の短歌大会の講師として広島を訪ねた。この連載をまとめた「七つ空、二つ水」(キノブックス)の記念イベントのために、約2年前に訪ねて以来である。  秋晴れの気持ち…

  • 路地裏の噺 (2017/9/29) 

     東京・神田のオフィスビルが立ち並ぶ大通りから少し奥に入った通りに、「連雀亭」と呼ばれる二ツ目の落語家・講談師専用の小さな寄席がある。客席40席ほどのこぢんまりした空間。高座がとても近く、噺(はなし…

  • 船が運ぶもの (2017/8/30) 

     日本から見て外国に当たる地を「海外」と呼ぶが、改めて考えると島国ならではの表現だな、と思う。今のように飛行機が発達していなかった頃、海外へ行くには船を使って何日も航海する必要があった。天候の不安定…

  • 徳島の海と椅子とレンガ (2017/7/28) 

     7月のはじめに、徳島県歌人クラブの夏の大会のゲストとして招かれ、久しぶりに徳島を訪ねた。  かつて私の所属する歌誌「かばん」のメンバーで、17年前に徳島で短歌合宿をしたことがある。徳島出身の歌人、…

  • 再生アパートに歌を (2017/6/28) 

     福岡市中心部の川沿いの一角に、冷泉荘と呼ばれる場所がある。昭和30年代に住居用に建てられたアパートだが、2000年代に入ってからリノベーションされ、現在はさまざまな店舗として利用されている。かつて…