運動部デスク日誌

東京五輪を覆う雲

2021/2/10

 2016年8月21日、マラカナンスタジアムであったリオデジャネイロ五輪の閉会式。長かった出張がやっと終わる。スタンドの記者席でそんな開放感に浸っていた。東京五輪のPRが始まる。アニメのキャラクターに続き、安倍晋三首相(当時)がマリオの姿で登場。「SEE YOU IN TOKYO」の掛け声とともに打ち上がる花火。あれからたった4年で、これほど世界が変わってしまうとは、誰が想像できただろう。
 開幕が近づく五輪に厚い雲がかかっている。選手にとっての気掛かりは、新型コロナウイルスの感染状況だけではない。「五輪は中止すべき」との世論の高まり。4年に1度の舞台に競技人生を懸けてきた選手にとって、こんな気の毒な状況はないように思う。
 なぜなら、選手は国を代表することに誇りを感じながら、五輪の舞台に立っているからだ。日の丸を背負うことは、国民の期待を背負うこと。「それは大きな重圧であると同時に、これ以上ない大きな喜びでもある」。そんな言葉をリオの現場で何度聞いたか分からない。応援してくれる日本中の人々とともに戦うからこそ、価値がある。それこそが彼らにとっての五輪なのであろう。
 「国民に支持されない五輪ならば、開催する意味はあるのだろうか」。多くのオリンピアンの指摘は、選手の思いに寄り添ったものだろう。この心の問題が、五輪開催への道をより険しくしている。そんな気がしてならない。(小西晶)

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