運動部デスク日誌

前に進む力

2021/3/12

 J1神戸のDF菊池流帆。岩手県釜石市出身の初のJリーガーで、東日本大震災を経験した。2019年にプロとして第一歩を踏み出したのは、J2のレノファ山口だった。震災から10年となった11日、菊池の記事が掲載されていた19年3月の中国新聞山口版をあらためて読み返してみた。
 菊池が釜石中2年の時、教室で激しい揺れに遭った。海岸から約2キロの距離にあった学校から、裏手の山に避難した。だが、生まれ育った街は津波にのみ込まれたという。
 練習場には仮設住宅が並ぶなど、サッカーから気持ちは離れていった。その時被災地支援で訪れたのが横浜FCの三浦知良だった。憧れのカズとボールを追ったことで、前に進む気持ちが芽生えた。強豪の青森山田高に一般入試で進学し、全国高校選手権にも出場。大学は大体大に。そして山口でJリーガーとなり、20年にはイニエスタらを擁する神戸に移籍。今月6日にあった徳島戦でJ1初ゴールを記録した。
 菊池は山口時代に「カズさんに会って勇気を出せた。子どもたちにとって同じ役割を果たせる選手になりたい」と誓っていた。菊池の初ゴールに、古里の子どもたちは大きな刺激を受けたことだろう。
 スポーツには、人を前に進める力があることを、あらためて実感した。
(下手義樹)


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