運動部デスク日誌

東京を射抜け

2021/3/21

 コロナ禍であっても、東京五輪へ向かう足音は聞こえてくる。20日に東京で始まった「アーチェリーの東京五輪最終選考会」。広島・佐伯高出身の23歳、河田悠希(エディオン)がトップスコアで、21日の最終日に進んだ。
 18歳だった5年前も、彼は五輪代表の有力候補だった。日本選手権を史上最年少の17歳で制し、初めてシニアの代表入りしたアジア選手権の団体では日本新記録を樹立。誰もが認める逸材は、日体大1年生となり、リオデジャネイロの舞台を目指した。
 思い出すのは2016年3月。リオ五輪の代表入りをかけたW杯代表最終選考会のことだ。アーチェリーは、選手の後ろに監督やコーチなどがスタッフとしてつく。微妙なフォームのずれや風の変化などをチェックし、アドバイスするためだ。しかし、日体大の学生だった河田にはスタッフがいなかった。
 3日間、矢が乱れても風が変わっても、たった一人で戦い、そして散った。その姿は、見ていて気の毒なほどだった。それでも言い訳することなく「自分のシューティングができなかったのは、実力がなかったから」と言い切った。
 あの時の挫折が、彼をどれだけ大きくしたか。それを知る舞台は、選考会ではなく五輪であってほしいと願う。4人が3人に絞られる最終日。18年の世界室内選手権で600点中598点をたたき出した爆発力を信じ、吉報を待つ。
 さあ、東京を射抜け。(小西晶)


  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

記事一覧