運動部デスク日誌

クロンに感じる可能性

2021/3/24

 「クロンでクロン(苦労)しそうだねぇ」という冷やかしが、冗談に聞こえなくなってきた。29打席連続無安打でオープン戦を終了。32打数2安打で打率は1割にも満たない。大砲の不振は打線全体にも影響を及ぼし、広島のチーム打率は12球団ワーストの1割9分7厘。開幕に向けての不安材料となっている。
 日本野球への順応に苦しんだ外国人選手は数知れない。入団1年目で打点王に輝いたルイス・ロペスもそうだ。1996年の春季キャンプでは、快音どころか前に球が飛ばず、実力に疑問符の付くスタートだった。褒めどころに困った三村監督は「野球に取り組む姿勢には強いものを感じた」と苦笑した。
 実は、その言葉にこそ、ロペスが日本で成功した理由が隠されていたように思う。キャンプイン6日目という異例の早さで打撃改造に着手。山本一義コーチは「外国人選手は、プライドが邪魔して難しいな」とよくこぼしていたが、その意味では、ロペスは例外中の例外だった。
 山本コーチの理論を信じ、スイング変更への抵抗を捨てた。若手との早出特打、夜間の素振りに参加し、連日開く「精神訓話教室」にも顔を出した。シーズン中には、対戦投手の特徴などを細かくメモし、試合前にはチェックを繰り返した。必死に日本野球を理解しようとしたその姿勢は、広島で7年プレーしたブラッド・エルドレッドも同じだったろう。
 クロンの可能性を信じたくなるのは、この2人と似た雰囲気を感じているからにほかならない。23日にも、グラウンドに一人残ってトス打撃を続けていたという長距離砲。いつかきっと、その導火線に火がつくことを信じて。今は「不安」の二文字を必死でのみ込んでいる。(小西晶)


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