運動部デスク日誌

一発勝負から生まれるドラマ

2021/4/4

 競泳の日本選手権が幕を開けた。今年は4年に1度のオリンピックトライアル。五輪代表選考会を兼ねた大会となる。初日から熱いレースが繰り広げられ、女子400メートル個人メドレーの大橋悠依(イトマン東進)ら3選手が代表入りを決めた。

 正真正銘の一発勝負。その厳しさに触れたのは、5年前。リオデジャネイロ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権の取材だった。私が追っていたのは、北京以来2大会ぶりの五輪出場を目指していた女子200メートル平泳ぎの金藤理絵(庄原市出身)。決勝レースは人生を懸けた大勝負。レースを見守る私も、緊張から脚が震えた。

 競泳の代表内定基準はかなり高いハードルだ。個人種目では「決勝レースで派遣標準記録を突破したうえで、2位以内に入ること」とある。似たものを探せば、陸上にも五輪参加標準記録が設定されているが、これは日本選手権までの大会でクリアしても認められる。しかし、競泳の場合、決勝レースで突破しなくてはならない。

 しかも、派遣標準記録は直近の世界選手権の決勝に進出できるタイムが目安となっている。ここに競泳の厳しさがある。1位でゴールしても代表を逃し涙する選手がいる中で、金藤は自らの日本記録を大幅に更新して優勝した。このレースがなければ、リオ五輪での涙の金メダルもなかった。
 
 4日には池江璃花子(ルネサンス)が女子100メートルバタフライ決勝に挑む。それぞれの思い、それぞれの人生が交錯する戦い。5年前の記憶をひもときながら、新たなドラマを見届けたい。(小西晶)


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