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2021ひろしまフラワーフェスティバル(関連ニュース・話題)

じいちゃんの桜よみがえった 広島の政成さん宅 心ふさぐコロナ禍、日常に彩り【花の力】

2021/4/17
能光さんが育てたヤエザクラをめでる真由美さん=9日、広島市安芸区(撮影・大川万優)

能光さんが育てたヤエザクラをめでる真由美さん=9日、広島市安芸区(撮影・大川万優)

 淡いピンクのヤエザクラが風に揺れる。その都度、自然と笑みがこぼれた。この春、広島市安芸区の政成真由美さん(69)は、庭を眺めるのが楽しくて仕方なかった。「見事によみがえってくれた。義父もきっと喜んだはずです」

 一緒に暮らした亡き義父能光(よしあき)さんは、庭いじりが大好きだった。アセビ、サツキ、キンモクセイ…。四季折々の花木を植えてくれた。中でもヤエザクラは、近所でも評判だった。60年ほど前に植えたという苗木は約3メートルに伸び、毎春、左右に広げた枝いっぱいに見事な花を咲かせた。カメラを片手に訪れる人も少なくなかった。

 ところが能光さんが5年前に93歳で亡くなると、一気に弱っていった。病気にかかってしまったらしい。

 「じいちゃんが丹精込めて育てた桜。枯らすわけにはいかない」。真由美さんは必死になった。庭師を呼び、病気の枝は大胆に切り落とした。せっせと肥料をやり、幹のコケを払った。しかし花数は減り、昨年はほんの数輪しか開かなかった。「あるじを失ったのが分かるのかな」。そう諦めかけていた。

 そんな中、この春、枝先に花芽を見つけたのだ。今月初めに開き始めた花は小ぶりで、数は往時の半分にも届かない。が、愛らしい姿に大きな力をもらったと、真由美さんは言う。

 この1年、心ふさいだ時もある。新型コロナウイルスがまん延し、世界が色を失ったようにも感じた。それでも、古木はけなげに花を咲かせてくれた。日常に彩りを与えてくれた。「すごい生命力。来年もその先も咲いてもらえるよう、私も花守として頑張らないと」。古木の根元には今、ひこばえも伸び始めている。(田中美千子)

    ◇

 未曽有のコロナ禍は、私たちの暮らしを大きく変えました。苦しみや不安で心折れそうになった時、何げない日常の大切さに気付き、花に癒やされた人は少なくありません。2年ぶりに、感染症対策を徹底して開催される2021ひろしまフラワーフェスティバル(FF)のテーマは「Power of Flowers」。「花の力」にまつわる人々のストーリーに光を当てます。 


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