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2021ひろしまフラワーフェスティバル(関連ニュース・話題)

塔を彩る9000鉢、癒やし届けたい 廿日市の橋本さん 昨年中止、未曽有の事態乗り越え【花の力】

2021/4/21
「美しい花を見て心を癒やしてほしい」。花の塔への思いを語る橋本さん(撮影・山田太一)

「美しい花を見て心を癒やしてほしい」。花の塔への思いを語る橋本さん(撮影・山田太一)

 みずみずしい緑の葉を広げたペチュニアの苗が、ビニールハウスにずらりと並ぶ。ピンクや紫、白、黄…。かれんな花が間もなく咲く。「5月の連休に合わせられるよう、気持ちを込めて育てています」。ハシモト園芸(廿日市市)の橋本和博代表(49)が穏やかな笑顔を見せた。

 2021ひろしまフラワーフェスティバル(FF、5月3〜5日)のシンボル「花の塔」。階段状に並べるペチュニアやマリーゴールドなど約9千鉢を協力業者とともに育て、ことしで13年になる。

 昨年、未曽有の事態に見舞われた。新型コロナウイルス禍で、FFは初めて中止に。さらに追い打ちを掛けるように政府の緊急事態宣言が全国に発令され、代わりに計画された花の展示も取りやめになった。丹精込めて育てた花々の行き場がなくなった。

 「いったいどうすれば」。橋本さんは途方に暮れた。花の準備を一緒に手掛ける仲間からの問い合わせにも答えに窮するばかり。このままでは今後、協力してくれる人がいなくなるのでは―。そんな危機感もよぎった。

 「広島の花で塔を飾ろうと育ててきた。思いを無駄にしたくないのです」。関係者に伝えると、協力企業などが手を挙げ、花を引き取ってくれた。「FFでは日の目を見なかったけれど、ほっとした。皆さんの気持ちがうれしかった」

 数年前から父の博さん(80)に代わって花の塔の準備を全て担う。長年、園芸に携わってきた父の背中から「最高の瞬間を見てもらうため、最善を尽くす」大切さを学んできた。

 花を育てることは苦労の連続だ。5月にきれいに咲かせるために、7カ月前に種を植える。冬の間はハウス栽培で加温を続け、根を広げるために一鉢一鉢の手入れが欠かせない。それでもきれいに咲いてくれた花を見るとほっと心が和む。やりがいで心満たされる。

 いま、苗はすくすくと育つ。本番まで、あと半月。「こんな時代だからこそ、美しい花が多くの人の心を癒やしてくれるはず」。そう信じ、今年も満開の花を届ける。(石井雄一) 


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