運動部デスク日誌

数字では計れない夢と価値

2021/4/28

 米大リーグの伝説の男もまさか100年の時を経て、自らの偉業をなぞる選手が出てくるとは思わなかっただろう。しかも日本人の若者によって。エンゼルスの大谷がレンジャーズ戦に「2番・投手」で先発。本塁打でメジャートップの選手による先発登板は、1921年6月13日のベーブ・ルース以来だったという。
 しかも打っては2打点、投げては勝利投手に。まるでアニメのようなストーリー。日本ハム時代から投打に高いレベルのプレーを見せる大谷に対し、よく議論になることがある。「投手か野手のどちらかに専念した方がいいのでは」。単純に成績面だけを考えれば、その方が突出した数字を残せるだろう。
 大先輩に当たるルースも24勝した2017年のシーズン後、チームメートが「野手として毎日試合に出た方が価値が上がる」と主張したとの記録が残っている。ルース自身も打撃への関心が高まり、野手としての出場に重きを置くようになったという。そして、714本塁打の大記録を打ち立てたのである。
 では大谷はどうか。本人はこれまで、「二刀流」でいきたいとの考えを繰り返している。球団も大谷の意思を尊重している。ならば外野がとやかく言うことはないだろう。とことん突き詰めてほしい。何より、大谷の挑戦は数字では計れないほどの夢と価値がある。(日野淳太朗)

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