運動部デスク日誌

山縣亮太は復活したのか?

2021/5/1

 二つの日本新が生まれるなど好記録が連発した、4月29日の織田記念国際陸上競技大会。注目の男子100メートルは地元広島出身の山縣亮太が桐生祥秀らライバルを圧倒し、10秒14(追い風0・1メートル)で3年ぶりの優勝を果たした。30日の朝刊各紙には「復活」という見出しが躍っている。ただ、彼はまだ、何も手にしてはいない。

 リオデジャネイロ五輪を目指した5年前のシーズンを振り返る。前年、山縣は腰痛に苦しみ、6月の日本選手権(新潟)を最後に100メートルの舞台から姿を消していた。織田出場がぶっつけ本番だったのは今年と同じだ。結果は優勝。向かい風2・5メートルでの10秒27は、無風なら10秒0台に換算される好記録だった。

 当時の五輪参加標準は10秒16。織田の抜群の走りを見れば、難なく突破して9秒台へ、と誰もが期待したことだろう。だが、そうはいかなかった。次戦のセイコーGPは10秒26。急きょ出場した東日本実業団で10秒08をマークして何とか突破したが、9秒台は遠い。日本選手権の決勝は10秒17で2位。現在の五輪参加標準記録である10秒05は、リオ五輪までの10レースで1度も切れなかった。

 日本選手権までに出場するレースは、ライバルではなく、自分自身との戦いとなる。1レースでも早く、10秒05を切る。このハードルが決して低くないことを知るからこそ、あえて言う。山縣は「復活」へのスタートラインに立った。本当の勝負はここから始まる。
(小西晶)


  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

記事一覧