運動部デスク日誌

14年前の夏

2021/5/3

 2日の阪神戦。広島東洋カープの野村祐輔がまさかの逆転満塁弾を浴びた。打線が五回までに3点を奪い、粘りの投球を見せていた。今季初勝利だと誰もが思ったであろう。チェンジアップを拾い、右翼席まで飛ばした阪神のスーパールーキー佐藤輝のパワーに脱帽するしかないが、広島の野球ファンは、あの光景がフラッシュバックしたのではないだろうか。
 2007年の全国高校野球選手権決勝の広島・広陵―佐賀北。広陵のマウンドにはエース野村。広陵は七回までで4点リードし、野村も被安打はわずか1。広陵の夏の甲子園制覇を疑わなかった。しかし八回、押し出し四球で1点を返され、まさかまさかの逆転満塁本塁打を喫した。高校野球史に語り継がれるシーンだ。このシーンを思い出すと「時が止まった」という感覚を味わった気がする。同じように感じた人は多かっただろう。
 この悔しさが、野村を強くした。明大でエースとなり、大学日本代表にも選出された。ドラフト1位で広島に入団し、新人王や最多勝を獲得。押しも押されもせぬ、チームの主力投手となった。
 くしくも、野村が甲子園球場で満塁アーチを被弾したのは、夏の甲子園決勝以来だった。今季は苦しみ、いまだ未勝利。試合後、佐々岡監督も2軍降格を示唆した。これまでも苦しさ、悔しさを糧にして強くなってきた。背番号19がさらにパワーアップし、1軍のマウンドに戻ってくることを期待している。
(下手義樹)


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