運動部デスク日誌

悪球打ち

2021/5/17

 水島新司さんの野球漫画「ドカベン」のキャラクターの一人、岩鬼正美は「悪球打ち」の名人である。ストライクゾーンは空振りし、とんでもないボール球をホームランにする。16日のDeNA戦で、広島東洋カープの西川龍馬が見事な「悪球打ち」を見せた。しかも2度も。
 四回にワンバウンドになりそうな球を地面すれすれで捉え、左前適時打。2―3の八回にも、四回と同じような低めの球を拾い、左前に同点打を運んだ。卓越したバットコントロールがなせる技であろう。
 西川は昨年にもワンバウンドのボールをヒットにしたことが話題となった。その時、「あまりお薦めできない打ち方」と評す野球評論家もいた。それでも、どんなボールでもヒットにできるという常識を覆す打撃技術は、プロ野球ならではで、醍醐味(だいごみ)だと個人的には思う。
 今季は打撃不振でこの試合は2年ぶりの7番に入った。「会心の当たりの安打より、詰まって安打とかの方がいい」と本人のコメントにあるように、一番に結果を求めていたのでは。今回は技術うんぬんより、泥くさく打った安打だったのではないか。ストライクゾーンなら確実に仕留めるヒットメーカーであることは誰もが知っている。この「悪球打ち」が復調のきっかけになることを願う。
(下手義樹)


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