運動部デスク日誌

金メダリストの伝言

2021/5/19

 新型コロナウイルスの感染拡大がなかったなら、もっと盛り上がっただろうに…。そんな思いで見つめていた広島での聖火リレーが18日、終わった。「聖火ランナーとして、きてましたよ」。取材に行った後輩記者から懐かしい名前を聞いた。リオデジャネイロ五輪競泳女子200メートル金メダリスト、金藤理絵さんだった。

 コロナ禍、しかも緊急事態宣言下での開催に、「(ランナーを)辞退するかどうか、迷った部分もあった」という。それでも参加したのは、「すごく五輪が悪者になっているような感じがして、それが私自身すごく嫌だったから」。五輪への自分の思いを、自分の言葉で正確に伝えたい。そんな使命感が参加を決意させた。

 5年前、五輪担当記者として、金藤さんとリオの地に立った。広島勢44年ぶりの金メダル。「あの頃は恥ずかしながら、五輪の意味を考えるよりは、勝ちたいばっかりだった」。冷静に五輪という大会と向き合えたのは現役を引退してから。開催を巡って、さまざまな問題が起こっている今だからこそ、「平和の祭典」としての意義を広く知ってほしいと願う。

 五輪開催へ強い逆風が吹く中、あえて伝えたいことがあった。「選手は開催を信じて、一歩一歩頑張っているだけなので。いろんな考えがあるとは思いますが、それはいったん胸にしまって、その頑張りは認めて応援してほしい」。選手たちの辛い胸の内を代弁しているかのようだった。(小西晶) 

#東京五輪・パラ


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