運動部デスク日誌

会沢がいないということ

2021/5/31

 先日、本欄で「当たり前と思っていたものほど、その喪失感は大きい」と書いた。この言葉を再び、しかもこんなに早く使うことになるとは。30日の広島―ロッテ戦を見ながら痛感する。広島東洋カープの「扇の要」、会沢翼がいないという現実である。

 31日朝刊スポーツ面のカープ記事を読んでいただけたら、ご理解いただけるかもしれない。先発マスクの中村奨成がロッテに1試合5盗塁を許した。もちろん、捕手だけの責任ではないが、この3連戦で計11盗塁と聞けば、「27」の背番号を探したくなるのも致し方ないところだろう。

 今のカープは「捕手天国」である。正捕手会沢がいて、打力のある坂倉将吾、磯村嘉孝が控える。ここに2年目の石原貴規が加わり、将来性豊富な中村奨がいる。他球団もうらやむ陣容である。彼らがここまで、1軍の舞台で伸び伸びと自分の持ち味を発揮してこれたのは、そして首脳陣がここまで思い切ってチャンスを与えてこれたのは、ベンチに「会沢」という存在がいたからではないか。そんなことを考えた。

 盗塁がバッテリーの問題なら、3連戦で25四死球という惨状も、投手だけの問題とはいえないかもしれない。球炎の見出しには「守れる捕手への道険し」とある。その通りだろう。それでも、失敗を恐れず、気後れせず、前を向いて進んでほしい。彼らの成長を見守る喜びが、今の喪失感を埋めてくれると信じている。(小西晶)


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