運動部デスク日誌

ボランティアが支える東京五輪

2021/6/9

 「五輪はスポーツと平和の祭典」という言葉を、最近よく耳にする。五輪取材を経験した者から言わせてもらえば、五輪は「ボランティアの祭典」でもある。2016年のリオデジャネイロ大会では5万人のボランティアが大会運営を支えた。実際、彼らのサポートがなければ、約1カ月間の五輪取材は苦労の連続だったことだろう。

 言葉の通じない異国の地で一人きり。どれだけ、彼らの存在が心強かったか分からない。メインプレスセンター(MPS)には、時間によって日本語の分かる方がいた。タクシーの乗り方から各競技会場への行き方、各種手続きの方法、周辺の店の情報まで教えてもらった。暴漢がメディアバスに発砲した事件の時には、「窓側に座らないように」と助言をもらった。

 印象的だったのは、彼らが大会を楽しんでいたことだ。仕事の合間に、踊ったり、歌ったり。大好きなサッカーの話になると、大はしゃぎ。マラカナン競技場であったブラジルとドイツの決勝戦では、仕事どころではない様子で、ブラジルの金メダルを喜ぶたくさんのボランティアにハグされた。今思えば、底抜けに明るい彼らの笑顔が、何よりの「おもてなし」だった。

 開幕が近づく東京五輪。ボランティア8万人のうち、1万人が辞退したという。感染の不安や中止を求める世論の高まりに、戸惑っている人も多いに違いない。「お・も・て・な・し」をうたった大会で、どのようなレガシーを残してくれるだろうか。彼らの笑顔なしに、大会の成功はない。(小西晶)

#東京五輪・パラ


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