運動部デスク日誌

令和のビッグレッドマシン 夢広がるか

2021/7/14

 「ビッグレッドマシン」―。野球ファンなら、一度は耳にしたことがあるかもしれない。1970年に米大リーグで圧倒的強さを誇ったシンシナティ・レッズの愛称。史上最多4256安打のピート・ローズ、本塁打王2回のジョージ・フォスターらを中心とした超強力打線で一時代を築いた。

 この言葉が日本のプロ野球で使われたのは、1990年代の赤ヘル打線である。トリプルスリーを達成した野村を筆頭に、江藤、前田智、金本、緒方…。多くの若ゴイが一気に花開き、超攻撃野球を支えた。特筆すべきは、これほどの個性豊かな才能が、同じ時代に同じチームにいたということだ。

 このチームを率いたのは、故三村敏之監督である。ただ、時代を彩った超攻撃野球は、三村監督が望んで仕掛けたものではなかった。目指したかったのは緻密な攻めで挙げた得点を鉄壁の守備で守り抜く野球。広商野球、そして栄光を築いた古葉野球。描いた理想は、その延長線上にあった。

 しかし、三村監督はその理想に目をつぶり、攻撃的な野球に舵を切った。斜陽にあった投手陣と、逆に多くの若ゴイが開花しつつあった打撃陣。「無理やりに自分の型にはめれば、このチームはばらばらになる」。指揮官の眼と決断が、「平成のビッグレッドマシン」誕生の一因となっていたのは間違いない。

 13日の広島東洋カープの先発メンバーを見る。計15安打を放った先発野手8人の平均年齢は25・4歳。20歳代前半では坂倉、小園、林、ベンチには石原、中村奨もいる。これをもって、「令和の〜」などと夢を語れば、笑われるかもしれない。ただ、同じ世代の多くの才能が今、同じチームにいる。この現実は大事にしなくてはと思う。

 この芽をどう伸ばし、夢へと近づいていくか。後半戦、佐々岡監督のタクトさばきに期待する。(小西晶)

超攻撃野球を支えた野村(左)、江藤(中)、前田智(1997年)

超攻撃野球を支えた野村(左)、江藤(中)、前田智(1997年)


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