運動部デスク日誌

球宴初取材、背番号7の思い出

2021/7/16

 プロ野球のオールスターゲームが16、17日に、2年ぶりに開催される。今年は新型コロナウイルス感染防止のため、取材は対面ではなく、リモートとなる予定。広島東洋カープから出場の4選手の声をどこまで拾えるか。担当記者は頭の痛いところだろう。

 選手を身近に感じられる場所。それが、私にとっての球宴のイメージだ。球宴はペナントレースとは違い、出番を終えた選手がベンチ裏に続々と出てくる。試合中に話を聞くことができるのだ。しかも、「お祭り」だけに選手も機嫌がよく、冗舌。野球以外の話で盛り上がったことも多々あった。

 私の球宴初取材は、1994年の第2戦(ナゴヤ)だった。試合は六回を終わって、7―2で全セがリード。素振り用のミラールームのあたりをうろうろしていると、部屋の中から「入ってこいよ」と声が掛かった。中には野村謙二郎選手。恐る恐る中に入り、話し相手になっていると、出番を終えた古田敦也選手らも入ってきた。

 スター選手らとの「井戸端会議」は試合終了とともにお開き。「じゃあな」と野村選手は選手用のバスへと向かい、私は取材へと戻った。そんな時である。「優秀選手賞、野村謙二郎選手です」というアナウンスが。

 取材をそっちのけで、バスへ走って、走って、走って。「野村さ〜ん。優秀選手賞に選ばれましたよ」。本人を見つけて伝えると、「どうして賞がもらえるのかなあ」と驚いた顔。スパイクに履き替え、背番号7はグラウンドへと戻っていく。その後ろ姿を見つめながら、原稿を一行も書いていないことも忘れ、一人達成感に浸っていたのだった。(小西晶) 


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