運動部デスク日誌

大変な五輪が始まる

2021/7/21

 「大変な大会になりましたね」。リオデジャネイロ五輪の時に知り合ったブラジルの友人からメールが届いた。心配されるのも無理はない。開幕まで1週間を切った段階で、開会式の作曲担当をしていた小山田圭吾氏を巡る大騒動。海外でこのドタバタ劇を眺めている人々は、心配を通り越してあきれていらっしゃるかもしれない。

 「リオでも、いろいろありましたけどね」と、苦笑しながら返信した。リオデジャネイロ州の州政府は開幕1カ月前に、財政危機を理由に「非常事態」を宣言。IOCのジョン・コーツ副委員長が「過去最悪」と表現するなど、大会の準備は遅れに遅れ、工事用の資材が残ったままの会場も多かった。ジカ熱の流行で、大会延期が叫ばれたこともあった。

 「それでも、みんな五輪を楽しんでいたでしょ」。返信の文字に、はっとした。確かにそうだ。「リオのカーニバル」の熱狂ほどではないにせよ、サッカー以外の会場も盛り上がっていた。人々は「南米初の五輪」というイベントを面白がっていたようにも感じた。そのエネルギーこそが、大会成功の原動力であったように思う。

 「大変な大会」という言葉に込められた思いは、「日本の人々の心が五輪から離れてしまっているのでは」という懸念だったろう。大会に向けての国内の気運の醸成。うまくいかなかったのは、新型コロナウイルスの感染拡大だけが理由ではなく、組織委のガバナンスの問題でもある。

 「聖火」に冷や水を浴びせられた大会を、どう盛り上げていくか。答えを探す時間は少ない。(小西晶) 

#東京五輪・パラ


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