運動部デスク日誌

石川佳純 9年越しの思いぶつける

2021/8/5

 28歳の石川佳純にとって、9年越しの思いをぶつけるときがきた。5日夜にある卓球女子団体の決勝。2012年ロンドン五輪の決勝で敗れた「卓球王国中国」と、五輪決勝という最高の舞台で再び相まみえる。競技人生を懸けた大勝負といっても過言ではないだろう。

 本来、この舞台は23歳で迎えた5年前のリオデジャネイロ五輪で実現させるはずだった。エースの石川佳純に27歳の福原愛、15歳の伊藤美誠の3人で、「打倒中国」に挑んだ団体戦。しかし、準決勝のドイツ戦に落とし穴が待っていた。石川自身はシングルスで2勝しながら、2―3で敗退。中国との対戦が消え、「本当に悔しくて悔しくて…」と、やり場のない思いを口にした。

 思い返せば、その瞬間から、「打倒中国」の第二章は始まっていたのかもしれない。当時の村上恭和監督からこんな話を聞いた。「みんな自信を失い、ガタガタの状態だった。石川の笑顔にみんなが救われた」。敗戦の責任を感じていた福原、伊藤に「もう一度頑張ろう」と笑顔で話しかけた。「本当はああいうのは苦手なんだけど、あの時は私がしなくちゃと思った」。気持ちを立て直して死守した銅メダルは、リオを敗戦の場ではなく、成長の場へと変えた。

 あれから5年。エースの肩書は伊藤に移り、石川は精神的支柱としてチームをまとめる立場となった。中国は、さらに強固で高く立ちはだかるが、ひるむことも恐れることもないだろう。「倒すチャンスはある」と努力してきた時間を信じて挑むのみ。待ちに待った舞台で、リオとは違う笑顔が広がることを願っている。(小西晶)

#東京五輪・パラ


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