運動部デスク日誌

新庄、まさかまさかのその先にあるもの

2021/8/12

 まさか、まさか、まさか…。どれだけ続けても足りないほどの、衝撃的な結末だったろう。全国高校野球選手権大会1回戦、新庄―横浜の話だ。2―0で新庄リードの九回2死一、三塁。2回戦進出まであと1人という場面で、新庄秋山は横浜の1番緒方に逆転サヨナラ3ランを浴びた。

 「負けに不思議な負けなし」と言うように、このような結末に至るには、それ相応の理由があろう。ただ、103回の大会の歴史でサヨナラ本塁打は23度しかない。それがあの場面で起こった。打った選手が素晴らしかったのはもちろんだが、加えて「伝統」という見えない力が起因しているようにも感じた。松坂大輔の時代はもちろん、「YOKOHAMA」のユニホームを着た選手が起こす奇跡を、何度も甲子園で見てきた。そんな力が、あの場面であの1年生に宿った。そんな思いに至った。

 もちろん、このような悲劇を防ぐ手はあった。新庄の宇多村監督は「1球の怖さを感じた試合」と振り返っていたが、私的には「1点の怖さ」を感じた試合だった。九回、待望の追加点を奪い、なお無死二、三塁の場面。「ここで3点目を奪えなかったことが…」というのが解説者や評論家の考える敗因だ。結果論といえばそれまでだが、この1点の重要性を指揮官がどう考えていたか。振り返るべきポイントであろう。

 かくして、新庄は敗れたが、こんな悔しい1敗も大きな一歩に変えることはできる。強豪と呼ばれるどんな学校も、最初は勝てない悔しさから学び、そして強くなった。新庄の甲子園の歴史はまだ始まったばかり。1球の、そして1点の怖さを知ったチームが、どのような姿で甲子園に戻ってくるか。今から楽しみにしている。(小西晶)


  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

記事一覧