運動部デスク日誌

9年前の記憶

2021/10/13
エディオンスタジアム広島のピッチで新しい背番号「3」を披露する塩谷選手(12日)

エディオンスタジアム広島のピッチで新しい背番号「3」を披露する塩谷選手(12日)

 鮮明に記憶に残っている姿がある。リーグ優勝が懸かった試合。スタンドには3万人超の大観衆。経験豊富な主力選手でさえ緊張を隠せない雰囲気の中、物おじせず相手FWをがつがつ削った。サンフレッチェが初のリーグ制覇を決めた2012年11月24日のC大阪戦。当時23歳だった塩谷司の度胸の良さには感動すら覚えた。

 その年の8月にJ2水戸から移籍したばかり。C大阪戦が2度目の先発出場だった。チーム状況はどうであれ、主力の千葉が出場停止で巡ってきたチャンスを絶対に逃すまいと必死だったのだろう。「緊張したけど、最高のプレーができた。イメージトレーニング通りに体が動いた」。無名だった若手が自信を付け、ステップアップする瞬間に立ち会えたと感じた。

 思い返せば、当時のチームには若手が飛躍できる土壌があった。経験豊富で視野の広いベテランと、脂がのりきった中堅が健在。練習では声とプレーでプロのあるべき姿を示し、試合では若手が思い切りプレーできるよう心を砕いた。また森保監督は若手の日々の練習にも目をこらし、フェアな競争で彼らにチャンスを与えた。理想的なサイクルがあった。

 海外で経験を積み、4年ぶりに広島へ帰ってきた32歳の塩谷には、今度は自らが若手を引っ張ることを期待したい。復帰会見ではこう語ったという。「昔の方が練習に活気や厳しさがあった。強かった広島を取り戻せるように頑張りたい」。若手の多い今のチームでできる貢献はプレーだけではない。(日野淳太朗)


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