リポーター発

アメリカ

米国 子の誘拐や不明 絶えず

2016/7/23
情報を求めて広告に掲載されている行方不明の子ども。「僕を見た?」に心が痛む

情報を求めて広告に掲載されている行方不明の子ども。「僕を見た?」に心が痛む

 小学校の修了日を目前にしたある日。わが家が暮らすミシガン州ロチェスターの小中高校の情報を統括するコミュニティースクールから1通のメールが携帯電話に届いた。「URGENT―MISSING CHILD」(緊急―幼児行方不明)とある。一瞬、身震いがした。
 確認すると、顔写真や名前、年齢、身体的な特徴のほか、下校時を最後に行方不明になったとある。顔に見覚えはなく、同じメールを受信した知人と安否を心配していたが、幸いなことに2時間後、無事に発見されたとのメールが届いた。
 安堵(あんど)したと同時に、子どもの安全を確保するにはどうすればいいのか、深く考えさせられた。米国では、銃関係の事件や犠牲者が多い印象があるかもしれないが、実は誘拐事件による行方不明者も多い。ある統計によると、その数は1日当たり2千人を超えるという。信じられない数字だ。
 身代金目的も依然多いが、家族の手による誘拐も少なくない。離婚率が高い米国では、親同士や親族による子どもの奪い合いが絶えないからだ。行方不明者の多さは日常生活でも実感する。毎週受け取る広告の裏面や請求書、スーパーの掲示板などで、それらの情報を目にしない日はない。
 現在では、より迅速に事件を解決するためのシステム「アンバーアラート」が運用されている。この1年で私も2度受け取った。児童の誘拐や行方不明事件が発生したら直ちに、地域住民の携帯電話にけたたましいアラーム音で一斉に情報が緊急配信されるものだ。テレビやラジオなどのメディアはもちろん、高速道路脇の広告掲示板にも容疑者のナンバーや顔写真などの情報が即座に反映される。これらが奏功して高速道路で逃走中の車両が警察に確保されたこともある。
 また、インターネット上のサイトでも犯罪情報の収集が可能だ。特に性犯罪に関しては、罪を犯した該当者の情報を公開する「ミーガン法」に基づき、顔写真や犯罪内容などの詳細を確認できる。わが家も引っ越しの際に利用したが、親として、こういう情報を把握することはとても重要ではないだろうか。
 米国では13歳になるまで1人で行動することが一般的に禁じられている。それまでは保護者に子どもの安全を確保する責任がある。車内に子どもを放置する、1人で留守番をさせるなどの行為は、目撃されれば警察に通報され、ペナルティーが科される。幼児虐待と見なされるケースもある。
 友達だけでセミ捕りや川遊びに夢中だった私の幼少時代と比べて、随分厳しいと感じるが、これが米国の現実である。今、夏休みの真っ最中だが、危機管理の意識を一瞬たりとも緩めてはいけないと、改めて思うこのごろだ。(プーセンプ麻衣=ロチェスター在住)

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