運動部デスク日誌

「褒めて育てる」

2019/4/26

 女子マラソン五輪メダリストの有森裕子さん、高橋尚子さんらを育てた名伯楽、小出義雄さんが24日に亡くなった。

 小出さんといえば、選手の長所を伸ばし、褒めて褒めて育てる指導方針で知られる。まだスパルタ指導が全盛だった1980年代から方針を貫いた。ただ褒めるだけではない。褒めることでやる気と自覚を起こさせ、勝つための過酷な練習に取り組む姿勢を生んできた。シドニー五輪前に高橋さんが、これまで誰もしたことがなかった標高3500メートルでの高地トレーニングを実施した話は有名だ。

 選手個々に合った指導法があることは言うまでもない。昨今のスポーツ界では、選手が自主的に話し合って練習メニューや戦術を決める「ボトムアップ理論」を実践する選手、チームが増えるなど、指導方法も変化してきた。一方で「トップダウン」で厳しい指導を続ける指導者もいる。それを望む選手がいる一方、行き過ぎるとパワハラ問題などが生じることも。いずれにせよ、厳しさ一辺倒だった日本スポーツ界に一つの手法を確立させた、小出さんの功績は計り知れない。

 小出さんの手法は家庭や社会にも置き換えられる。思い返せば、バスケットボールに明け暮れた学生時代、記者修業に励んだ会社と、厳しい指導を受ける方が圧倒的に多かった。社の後輩にきつい口調で指導することもあった。型にはめるのではなく、個性や長所を生かし、やる気を起こさせる指導が大事だと、改めて教えられた気がする。しかし、我が身に置き換えてみる。褒められてばかりだと、調子に乗っていただろう。(下手義樹)

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