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ちゅうごく山歩き

「8年間で登った山、同じ表情なかった」 本紙連載を終えて、松島宏さんに聞く

2020/4/4
広島登山研究所代表の松島宏さん

広島登山研究所代表の松島宏さん

 広島登山研究所代表の松島宏さん(67)=広島市西区=がつづる連載「ちゅうごく山歩き」が3月末で終了した。2012年3月から本紙夕刊でスタートし、13年7月から朝刊くらし面で週1回掲載。8年間で384回を重ね、中国地方の山々に登る魅力を伝えてきた。松島さんに連載を振り返ってもらった。(林淳一郎)

 ▽多島美や歴史、出合い多く

 ―標高千メートルを超す険しい山から身近な里山まで、中国5県の山という山を東奔西走して、どんな出合いがありましたか。

 山登りは旅であり、冒険です。山の高低や規模にかかわらず、挑んで外れはありません。例えば、呉市・倉橋島の火山。標高408メートルと低くても、海抜0メートルから一気に登っていく。頂上の巨岩から望む瀬戸内海の多島美に息をのみます。達成感に浸り、新たな世界に触れた気持ちになります。

 8年間で登った山に、同じ表情はなかった。広島県北広島町の有田城山(376・9メートル)など中世の山城跡は乱世の攻防史を体感できます。たたら製鉄という中国山地で盛んだった文化や、修験道の信仰を今に伝える山もある。流れ落ちる滝、四季折々の草花に出迎えられることもあります。一つ一つが発見で、「楽しい」のひと言です。

 ―反響も多かったのではないでしょうか。

 「わがまちの山へ」と手紙などで誘われて、10以上の山を訪ねました。島根県邑南町の原山(888・3メートル)もそうです。田植えを手伝う優しい山姥(やまんば)の伝説があり、地元で大事にされている。住民が登山道の整備に励む山もあります。営みの中に山があるのだとあらためて感じました。

 ―番外編としてヒマラヤ山系のハードな登山も計5回にわたって紹介しました。合わせると連載は389回になります。

 もともと岩登りのアルパインクライミングに魅了されてきました。大学時代に所属した山岳部で本格的に始め、標高6千メートルを超すヒマラヤ山系などの鋭く切り立った山肌にアタックしてきたのです。

 遭難経験もあります。1998年、中国などにまたがる天山山脈への挑戦は危うかった。当時46歳。氷点下20度を下回り、酸素も平地の3分の1ほど。吹雪で身動きがとれず、命を落としかけました。それでも登山への熱意は冷めず、逆に高まった。4年後に高校教師を辞め「登山一本でいこう」と決意したんです。

 ―山登りは危険とも背中合わせです。どんなことに注意すればいいですか。

 標高の低い山も油断できません。やぶこぎして道を探し、登山者が木に付けたテープを頼りに登ることもある。事前のルート選定が大切です。地図や磁石、雨具、簡易テントなどの準備も欠かせません。

 山に行くといつも感じるんです。人も自然の一部なんだと。癒やされる一方でリスクにも直面する。そのとき、どう判断して対応するか。便利で快適な都市の暮らしの中では見失いがちなものに気付かされます。

 ―魅力が尽きないのはそのためでしょうか。

 そうだと思います。私の山登りの原点は小学生の頃に友達と分け入って遊んだ里山です。何回登っても飽きません。連載の初回も自宅から近く、トレーニングで登っていた広島市西区の宗箇山(356メートル)を選びました。登山は健康維持にもってこいのスポーツなんです。身近な山へ、まずは登ってみませんか。

 まつしま・ひろし 広島市西区出身。広島大在学中、山岳部員として同大ネパールヒマラヤ学術調査隊に参加。卒業後、02年まで私立高の理科教諭。国内外の山に挑み、10年に広島登山研究所を設立した。広島県山岳・スポーツクライミング連盟理事。

 中国新聞社は、連載「ちゅうごく山歩き」の本を刊行している。既刊の第1〜6集に計300回分の連載を収録(第1、2集は在庫切れ)。登山コースの特徴や所要時間を解説し、頂上などからの眺望を紹介するカラー写真、ルートを示す地図も添えている。各集514円。第7、8集の刊行も予定し、最終の384回まで掲載する。中国新聞企画サービス出版部Tel082(236)2250。

大山滝(鳥取県琴浦町)

大山滝(鳥取県琴浦町)

鎌倉寺山(広島市安佐北区)の一帯から

鎌倉寺山(広島市安佐北区)の一帯から

人形仙(岡山県鏡野町)へ

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蛇円山(福山市)から

蛇円山(福山市)から

三鈷峰(鳥取県大山町)から

三鈷峰(鳥取県大山町)から

奥三段峡(広島県安芸太田町)

奥三段峡(広島県安芸太田町)

城山(岩国市)を望む

城山(岩国市)を望む

書籍「ちゅうごく山歩き」

書籍「ちゅうごく山歩き」

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