運動部デスク日誌

守護神

2020/7/9

 守護神とは、つくづく損な役回りである。重圧に打ち勝ち、結果を出しても、「抑えて当たり前」。逆に打たれたら、「戦犯」としてスポットを浴びてしまう。メンタルが相当強くないと、できる仕事ではない。現場にいるときは、ずっとそう思ってきた。
 だからではないが、守護神に野武士のようなイメージを勝手に持っていた。サヨナラ負けを喫した後の取材などは地獄である。記事にする以上、打たれた本人に、その状況を質問し、語らせなければならない。無視や怒鳴られる覚悟は常にできていた。ただ、私が取材してきた守護神たちは、幸いにも心優しき男ばかりだった。大野、佐々岡、永川…。みんな悔しさを押し殺し、冷静に言葉を絞り出してくれた。
 炎のストッパーと呼ばれた津田もそんな男だった、と元広島投手で、現西武ファーム投手総合コーチの清川栄治さんから聞いたことがある。救援に失敗しても、普段と変わらないように振る舞っていたという。「だけど、悔しさは人一倍持っていた。打たれた翌日は必ず、朝早くから誰もいない球場のスタンドを一人で走っていたから」。本当のメンタルの強さとは、悔しさを「やり返してやる」という闘志に昇華できること。そう理解した。
 広島の新守護神、菊池保も心優しい男であると聞く。8日、チームメートの好守に助けられてのプロ初セーブ。満面の笑みではなかったのは、投球のふがいない内容に悔しさを感じていたからだろう。次のマウンドでどうやり返してくれるか。プロ13年目、30歳の成長を楽しみに待つ。(小西晶)
7月は全文ご覧いただけます。

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