始まりの「一」
2020/7/18
野球では「一に始まり、一がすべて」という言葉がよく使われる。一回、1打席目、1球目、1歩目…。「1」という数字には、勝負の流れを左右する重要な意味が潜んでいる。
この言葉を改めてかみしめたのが、先日の巨人3連戦である。巨人が徹底してこだわってきた「始まりの一」は先取点である。2、3戦目は一回に先制。1戦目も四球で得た走者を生かし、三回に先制した。特筆すべきは、亀井や坂本にためらいなく犠打させている点だ。巨人は今季、先制した試合は11勝1敗。「先手を取り、流れにさえ乗れれば」という思いが、指揮官、選手の間で共有されているのだろう。
一方、広島は「始まりの一」を粗末にしていた。この3連戦で一回に挙げた得点は0。打撃成績は10打数1安打で、チャンスすらつくれなかった。守っては、この3連戦で先頭打者を12回出塁させ、うち9回失点。計23点を献上した。投手でいえば先頭打者、打者なら1打席目。あの3連戦の明暗は、「始まりの一」への執念の差ではなかったか。
さて、そこで17日のヤクルト戦。絶好調の堂林を、一回に打席が回る3番へ入れた佐々岡采配は、「一」への強いこだわりを感じさせた。結果はご覧の通り。「一に始まり、一がすべて」。その意識だけでも、風は十分変えられる。(小西晶)
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